2004年07月27日

ポアソン方程式

じゃ、まあ、面倒だけれどポアソン方程式から表面ポテンシャルをもとめる話をしよう。

まずは強反転のバンド図をモデルにして説明する。以下の図を見てもらおう。

ポアソン方程式

図に新しくφ(x)ってのがあるが、これは表面ポテンシャルをxの関数としてみたものである。そんでもって、この表面ポテンシャルをもとめたいわけだ。

これをもとめるためにはポアソン方程式を使う。図の下にあるのが一般的なポアソン方程式で、3次元の関数である。左辺はポテンシャルの微分で右辺は電荷密度ってことになる。これ、よく見ると(よく見なくてもだが)何か思い当たることがある。そう、これはガウスの定理なんだよね。

なんでガウスの定理を使うのかがイメージできない人は、ファインマンの講義教科書の第3巻電磁気でも見るとよくわかる。まあ別にファインマンの教科書じゃなくてもいいのだが、昔読んで結構分かりやすかったので。

これを今回の、強反転のバンド図の場合に当てはめて、xのみの1次元で考えると右上の式になる。ここでは真空の誘電率とSiの比誘電率を使ってSiの誘電率を書き換えてある。

このとき電荷密度ρはその下の式になる。実際にはp型半導体のモデルなので、不純物濃度のNdは無視できて、Naが支配的になる。その他多数キャリアのp、少数キャリアのnは以前キャリア密度拡散電位障壁越えなどで出てきたキャリア密度の式をポテンシャルで書き換えて、φ(x)の関数になっている。めんどくさいので載せないが、知りたい人は教科書または適当にWeb検索でもして見つけて頂戴。

そして、この1次のポアソン方程式を境界条件の下に解いていく。境界条件は示してあるぐらいだったと思うが、結構適当。いまさら解く気も起こらないので、このぐらいの条件で解くと結果がでるだろうってことにしておく。初学者やまじめに勉強している人は、教科書などを参考に一度はちゃんと解いておくと良いと思う。

それぞれの境界条件の意味は、じっと見れば(じっと見なくても)分かると思うので説明はしない。

最終的に解いた式はφ(x)=A(1-x/xd)2てな形になり、この式にx=0を入れると強反転のときの表面ポテンシャルがでてくるわけだ。これが一番最後の式で、上に書いたAっていう定数がφsになってくるわけね。ちなみに強反転だからここでxdってなっているのはXdmaxのこと。

今回はここまで。次回は今回得られた表面ポテンシャルの値で少し簡単にお遊び。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月26日

キャパシタの表面電荷

今回は前回の続きでキャパシタの表面電荷のはなし。

すこしややこしいのが何回か続いたので今回は軽く。

前回の強反転のところででてきた図をそのまま流用したのが以下の図である。

表面電荷

ここでは、空乏状態と強反転状態を例にとる。

その前に、蓄積状態では単純なコンデンサと同じだから、酸化膜厚に相当した容量が蓄積されるので、特に表面電荷について触れる必要がない。中学か高校の理科あたりで習う知識で、誘電率、膜厚、面積が分かればOKだ。

そして、普通の反転状態は強反転と同じように考えればよいからこれも省略。

まずは、空乏状態。空乏層内にはアクセプタイオンの電荷のみが存在して、その電荷密度はアクセプタ濃度と空乏層幅をかけたものになる。これが電極の表面電荷の大きさと等しくなるわけだ(大きさだからそれぞれの絶対値ね)。

ちなみに図の電荷密度の大きさを表す4角形がつりあっていないが、電極側の表面電荷はもっとずーっと上に伸びている。普通は〜こいつが二つ重なった間を飛ばすよって記号が入っている。

一方、強反転状態のほうはというと、同じく空乏層内のアクセプタイオンによる電荷と、さらに反転層の表面電荷が加わる。そのイメージは図のとおりである。電極側の表面電荷と空乏層電荷+反転層電荷がつりあう。

次はいよいよその反転層の電荷を求めるために、表面ポテンシャルを求める話だったり、ポアソン方程式の話に移るわけだが、今回はここまで。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月23日

強反転

それでは、前回でてきた理想MOS構造をベースに話を進めていこう。今後はすべて理想MOS構造が前提である。

今回はMOSキャパシタにバイアスをかけるとどうなるかを、バンド図を用いて説明する。以下の図を見てもらおう。

強反転

まずは一番左上の無バイアスの状態がスタートである。特に触れていないが、バンド図からわかるようにこれはp型半導体のキャパシタであり、Holeとアクセプタイオンがたくさんあることになる。

そしてゲート(トランジスタじゃないのでゲートって言うのも辺なのだが、今後もゲートって呼ぶ)にマイナスのバイアスをかけた場合が蓄積状態である。普通はAccumulation(アキュムレーション)ということが多い。

これはどういうことかというと、図の白抜きの丸が半導体表面のバンドが曲がったところに集まり、電子が電極表面に集まることになって、よく知られているコンデンサに電気を貯めた状態になるわけだ。

次はゲートにプラスのバイアスをかけた場合である。最初は軽くバイアスをかけた場合で、これが空乏状態で一般にはDepletion(デプレッション)という。これは言葉のとおり、半導体表面に空乏層ができるのだ。そして、半導体側のバンドは下に曲がる。下に曲がるってことは、さっきのAccumulatinと違ってHoleが存在しにくくなるわけだから(だから空乏化するわけなんだけど)Holeが蓄積されることもない。そして電極表面にはHoleが集まることになる。

このときの空乏層幅はXdとして、表面のバンドの曲がりの大きさをφsと呼ぶことが多い。このφsって通常表面ポテンシャルって言う。ちなみにここのバンド図では電荷qは省略して、縦軸はポテンシャルとか電位になっている。

じゃあ、このDepletion状態にさらにプラスのバイアスをかけていくとどうなるかっていうと、次の反転状態、Inversion(インバージョン)になるわけだ。これはどういう状態かというと、言葉どおりに反転した層が現れるということだ。

つまり、p型半導体なのに電子がいっぱい浮き出てきた層が現れるということ。バンド図で半導体表面にEc上灰色の丸があり電子と説明してあるが、これがそうである。要するにバンドが下に曲がることにより、真性半導体のフェルミレベルが今のp型半導体のフェルミレベルを下回ってしまうので、その下回った部分はほっといても電子に励起されてしまうわけだ。

もうお分かりと思うが、この反転層が現れる条件というのは、図の下の不等式のように、表面ポテンシャルφsがψBよりも大きくなったときである。上に言葉で説明した真性半導体のフェルミレベルと現在の半導体のフェルミレベルの関係だ。

このとき空乏層幅XdはDepletionのときよりも大きく伸びている。また、電極表面のHoleもさらに増えている。これは電極表面の電荷と半導体の反転層電荷、アクセプタイオンによる電荷とつりあわないといけないからなのだが、この辺の表面電荷の話は次回する。

そんでもって、もっともっと電圧をかけていくとどうなるかっていうと、次の強反転、Strong Inversoinになるわけだ。

強反転の場合は、条件は反転の場合とほぼ同じだが、唯一条件があって、それは表面ポテンシャルφsがψBの2倍以上にならないといけないってことだ。このψBの2倍以上ってのが大事である。真性半導体のフェルミレベルが現在の半導体のフェルミレベルを下回って、さらにその変化分をもう一度下まわるってことになる。

このとき表面の反転層にはさらに電子がたまっている。そして、この強反転の特徴はもうこれ以上空乏層が伸びないってことだ。つまり、φs=2ψBのときが空乏層幅の最大Xdmaxになるわけだ。それ以降は、いくらバイアスをかけても空乏層は伸びない。これはなんでかっていうと、バンドがもう曲がらないからである。

このあたりまでくると、バンドが少し曲がるだけで反転層の電子が指数関数的に増えるから、電圧をかけても電子をバンドを曲げなくても電子を増やすことによってつり合いが取れる。

トランジスタではこの反転層の電子がスパーっと掃けることによりドレイン電流になるわけなんだけど、そうすると前に出てきたVth(閾値電圧)ってのが上の説明でどんなものかだんだん分かってきただろう。そのうちもっとよくわかるようになる。

では今回はここまで。次回はさっき触れた、表面電荷のつりあい。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:55| Comment(5) | TrackBack(1) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。