2004年04月20日

インバータ最終回

今回は、さしあたってのインバータの最終回である。
予告通り、ちょっとイレギュラーな、というか、他に一般的に使われている、インバータの紹介を。

まず、以下の図を見て頂戴。

抵抗インバータ

これ、今までの図と比べるとむちゃくちゃシンプルだけど、れっきとしたインバータなのね。
今までのCMOSインバータで使われていた、上側のPMOSが抵抗に変わっていて、入力のVinは下側のNMOSのゲートにしか入っていない。

軽く動作説明をすると、まずゲートに5Vのハイの信号1が入る場合は問題ないよね。前回と同じで下のNMOSがONするので文句なしに、VoutにはGndの0Vが出力としてでてきて、ロウの信号0となる。

反対にゲートに0Vのロウの信号が入る場合には、NMOSがOFFのままなので、上側の抵抗分の電圧降下を、Vddの5Vからひいた値がVoutの出力として出てくる。このとき、この抵抗がはてしなく小さければ、ここでの電圧降下は無視できるほどになって、結果としてほぼ5VのVddそのままの出力が出てくる。で、入力がロウなのに出力は反転してハイになる。

すると、あらまあ不思議。PMOSの代わりに抵抗使っても、ちゃんとインバータができている。

これ、実は前に少し説明した、昔のプロセスでCMOSプロセスが開発されていなくてNMOSのプロセスだけの時には、拡散層の抵抗を使うという技を使ってインバータを作ったわけ。

他にも方法があって、それはNMOSトランジスタをうまく使う。抵抗を使ってインバータができるなら、上側にONしっぱなしのトランジスタを置いてもいいってことになるよね。ONしっぱなしのトランジスタなら抵抗と同じだもんね。だからこの場合、NMOSのVthを0V以下にしちゃう。するとゲート電圧が0Vでも5Vでも、プラスの電圧をかけていればトランジスタがONするから、見かけは抵抗と同じに扱える。これはウェハープロセスでそこだけ違うVthのトランジスタを作るわけ。詳しくは、もっとあとでプロセスの話の時に説明することになるけど、こういうトランジスタのことをデプレッショントランジスタと呼んでいる。単にデプレッションとも言う。

こういうふうにすると、NMOSのプロセスだけでも、抵抗使ったり、デプレッショントランジスタを使えば、ちゃんとインバータができる。なかなかよい知恵だ。ちなみに、現在のCMOSプロセスでも、わざと抵抗を使ったりして回路を組んでいるから、この知恵は特にCMOSプロセス以外のためのものだけではない。

他にも、PMOSプロセスではどうやるかとか、応用はあるので、それは自分で考える。
こんなところで、このセッションのインバータの話は終わり。

次は、そろそろ、ウェハー上でのトランジスタの作り方にでも進もうかな。
posted by ピッコロ大魔王 at 11:47| Comment(3) | TrackBack(0) | 回路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月19日

インバータ続き

今日はあんまり酔っ払ってないので、2度目の投稿。でも、少し気持ちよくなっている。

さて、入力が0Vの場合だ。Vinが0Vの場合、まずPMOSがどうなるかだ。ゲート電圧が0Vで、Vddであるソース電圧が5Vになっている。前回少し説明したのと同じように、ソースは基板電圧と同じになるようにしてあるので、基板(ソース)から見るとゲートは-5Vになっている。ということは前回設定したPMOSのVthである-3Vを絶対値で軽く上回っていることになる。ということは、PMOSがONするってことだ。ちなみに、このときPMOSのドレイン電圧(Vd)がいくつなんてのは、前回のNMOSがONのときと同じで考えない。こんがらがるからね。

一方、NMOSのほうはどうであろう。ゲートが0V、Vs(ソース電圧)もGndで0Vになっている。これじゃあ、基板に対してゲート電圧は0Vと0Vで電位差がなくて、NMOSのVthである3Vにはるか及ばない。ということで、NMOSは入力電圧が0Vではうんともすんとも言わない。

で、PMOS、NMOSこれ二つをあわせてみるとどういうことになるか。PMOSは入力電圧ゼロでON、NMOSは入力電圧ゼロでOFF。これは前回の入力5Vのときと同じように考えると、PMOS側がONしているわけだから、このPMOSトランジスタのチャネル(電流の通り道)部分がPタイプに反転して(Holeの通り道ができる)電流が通ることになる。そしてこの場合もチャネル部分のわずかな抵抗があるだけで、V=IRの電圧降下分を差し引いた電圧がVoutに出ることになる。

前回は長くなったので詳しくは説明しなかったが、今回の場合でちょっと説明しよう。V=IRでRがむちゃくちゃ小さいとすれば、その電圧降下はわずかだ。Vddに5Vかかっているとしても、PMOSがONしたときのそこを電流が通るときの抵抗がむちゃくちゃ小さいとすれば、トランジスタでの電圧降下はごくわずかということになる。例えば、0.000001Vなんてことになると、実際の電圧効果を差し引いたVoutの電圧は5V-0.000001V=4.999999Vってことになりほぼ5Vってことになる。

いやー、おもしろいねえ。今の話を全体的に見るとどうなるか。つまり、Vinが0Vの時には、PMOSはONになって、NMOSはうんともすんとも言わない。するとVinで0Vというロウの信号を入れたのにVoutではほぼ5Vのハイって言う信号が出てくる。
あらまあ、不思議。入力信号0(ロウ)が出力信号1(ハイ)にでんぐり返っている。

前回のNMOSがオンする場合と今回のPMOSがオンする場合をあわせると、これがCMOSインバータの動作ってことになる。これで、ちゃんと1が0、0が1っていう論理回路になったでしょ。

次は半導体のインバータのちょっとした補足。忘れないようにメモしておくと、抵抗とかNMOSだけを使った場合。
posted by ピッコロ大魔王 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 回路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

インバータ2

週末お休みしている間、コメントが1個載っていた。
下流のほうもということだったが、下流とはトランジスタの物性とか、半導体プロセスのことかな。まあ、自分の場合、工場勤務の時には、プロセスとか製品のほうを見ていたので、回路は専門ではないが、教科書とは違った分かりやすさを目指して、いろいろ脱線しながら、メモしている。そのうち電流電圧特性とかPhotolithoとか拡散とかインプラなどの話も出てくるでしょう(続けばだけど)。

しかし、29歳から30歳ぐらいの時には工場の親分やらされていたから実務は短いし、もう会社を辞めて5年以上経っているので、記憶はあやふやで古い情報なので、これから勉強する人はちゃんとした本も読んだほうがよいでしょう。そこそこ頭の中には残っているもんだなあとは思いつつも、時々嘘書いてるかもしれないので。ちゃんと調べて書けばいいんだけど、ご気楽趣味的にはそこまでする気力はない。

さてさて、インバータの続きである。以下の図を見てもらいましょう。

CMOSインバータ詳細

これを見ると、前回のインバータの回路図と比べてよく分かると思う。これ、普通CMOSインバータって言うんだよね。なぜCMOSかというとComplementaly Metal Oxide Semiconductorだから。なんだか分からんって?Complementalyって日本語で言うと相補型って意味で、互いに補っているという意味(英語のつづりこれでよかったっけなあ?)。つまり、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの両方を1つのウェハー上に作って使っているのを業界ではCMOS、CMOSと呼んでいるわけ。ちなみに昔は、そういう技術がなくて、NMOSだけとかPMOSだけとかのプロセスを使っていた。

CMOSインバータは、PMOSとNMOSのドレイン側をつないで、そこからOut(出力)端子をとり、NMOSのソース側(図の下側)をGndにつなぐ。そして、PMOSのソース側にVdd(電源電圧)の端子を出しておく。ゲートの端子はNMOSとPMOSのゲート電極を共通にして、そこがIn(入力)端子になる。

さて、ここからが動作説明なのだが、仮にVin(入力)を5V、Vddを5V、PMOSトランジスタのVthを-3V、NMOSトランジスタのVthを3Vとしてみよう。論理回路的には、Vinにかける電圧が5Vのときは1でハイになり、0V(つまり電圧をかけていない入力ゼロの時)のときは0でロウになる。

まず、Vinが5VのときにそれぞれPMOSトランジスタとNMOSトランジスタの動きがどうなるか。Vddは常に電圧かかりっぱなしで、5Vかかっている。PMOSは単体で見たときに、ソースに5V、ゲートに5Vかかっていることになる(Ps、PdはそれぞれPMOSのソースとドレインね)。PMOSトランジスタがONになるためには、トランジスタのソースを基準にしてゲートの電圧がVthを超えればよい(PMOSの場合マイナス側に絶対値として超える)。この場合、ソースが5Vでゲートが5Vなので電位差はなく、PMOSのゲートは基板にたいして0Vということになり、ONしない。ここで、大事なのはVss(ソースの電圧)が基板電圧として設定してあるという点だ。このインバータでよく分からなくなってしまう典型的なパターンは、PMOSっていうとゲートにマイナス、ドレインにもマイナスかけるとONするって思っているために、動作が分からなくなるというパターンだ。

同じように、NMOSを見てみる。この場合、ゲートに5VでVss(ソースの電圧)はGndで0Vなので、電位差は5VになりNMOSのVthである3Vを軽く超えている。だからNMOSはONすることになる。

すると、どうであろう、ゲートに5V電圧をかけると、PMOSはうんともすんともいわないが、NMOSはONするということになる。で結果的には、NMOSはトランジスタのチャネル部分(電気の通り道)のわずかな抵抗があるだけで、ただの小さい抵抗の銅線と同じになる。するとGndの電圧がVoutの場所に出てくることになる。

あら不思議、Vinに5Vかけてハイの信号だったのがVoutでは0Vのロウの信号にでんぐり返っている。
ちなみに、このときNMOSのドレイン側に何Vかかっているんだろう、なんて考えるとわけ分からなくなるので、そこは無視。

長くなったので、逆の0V入力は次。
posted by ピッコロ大魔王 at 11:37| Comment(7) | TrackBack(0) | 回路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月16日

インバータ

一昨日、明日に続くとか書きながら、昨日は晩酌しすぎて気絶してしまった。

さて、インバータである。インバータは回路ではいわゆるNOTである。こういうのを論理回路って言う。AND(アンド)とかOR(オア)ってのを聞いたことがある人も多いと思う。文科系の人は無理かもしれないが、理系の人はほぼ全員が言葉ぐらい知っているだろう。

一番簡単な論理回路がNOTである。だって、信号が反転するだけだから。要するに入力に1を入れたら出力が0になって、入力に0を入れたら出力が1になるだけの話だ。1のことをハイ(High)だとか、0のことをロウ(Low)だとか言ったりもする。これは、矩形波の信号を入力信号として見たときに使う言い方だと思えばよい。このNOTの論理回路記号を書くと下の図のようになる。

インバータ記号

まあ、これは見たまんま。ど素人でも、1,0の関係がなんとなくは分かるでしょう。で、ここからが問題である。このNOT(インバータ)の論理回路をトランジスタの記号を使って簡単に書くと、こんなふうになる。

CMOSインバータ

Vinって書いてあるところが入力で、論理回路記号でのInにあたる。Voutって書いてあるところが、同じくOutにあたる。Vddってのは電源電圧。これは前に説明したトランジスタのところで言った、Drain(ドレイン)にかけた電圧と同じだと思ってかまわない(ちょっと違うけどね)。さらに、Gndとはアースのこと。一般的にはGndは0Vだと思えばよい。要するに基準電圧が0Vってこと。

この図だけでは全く分からないと思うが、ここからが本番で、長くなりそうなので、次に続く。(明日とは書かない)
posted by ピッコロ大魔王 at 18:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 回路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月14日

MOSトランジスタ記号

いやー、どうもこの講座書くの、毎日夕飯時に缶ビール2本と、焼酎ロックで3,4杯飲んだ後だから、結構気持ちよくなっていて、かなり適当。

で、今日は次へのステップへの準備段階として、トランジスタの記号表示のお勉強。ちなみに次へのステップとはインバータのことである。電子回路の一番単純な部品といえば、インバータであるが、その説明のための前準備というわけだ。ま、インバータが何か分からない人も、次回かその次になれば分かるので気にしない。とにかく、初歩の半導体を勉強するに当たっては、製造プロセスと回路設計をうまく理解するためには、インバータで学習するのが一番よい。(と、個人的に勝手に思っている)

さて、まずNchトランジスタのことを業界では普通NMOSと呼ぶ。これを記号で表すと次のようになる。GはGate(ゲート)、DはDrain(ドレイン)、SはSource(ソース)のことね。

NMOS記号

この図を横に倒すと、なんとなく前に出したトランジスタの断面構造に似てるよね。これが、回路図で使うNMOSトランジスタの記号だ。
さらにPMOSの場合は次のようになる。

PMOS記号

結局、NMOSとPMOSの記号の違いは、真ん中にある矢印の向きが違うんだよね。この矢印って電流の流れる向きを表している。
例えばPMOSの場合、キャリアがHoleなのでプラスの電荷がD(Drain:ドレイン)からS(Source:ソース)に流れることになるのでSに向かって矢印が出ている。NMOSの場合、キャリアが電子なので、マイナスの電荷がDからSに流れることになる。この時、電流は電子の流れとは反対なのでSからDに電流が流れることになる。だから記号ではSから矢印が出ていることになる。忘れたかもしれないが、キャリアとは電荷を持って移動するもので、電子か正孔(Hole)のことをさす。

今日は図を書くのに時間がかかったのでここまで。また明日に続く。
posted by ピッコロ大魔王 at 22:38| Comment(3) | TrackBack(0) | 回路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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