2004年06月02日

Nch S/D Impla

修正版

さて、今回もいきなり続きである。

前回、Nch S/DのPhoto工程まで終わり、ResistによるMaskingまで構築されている。以下の図を見てもらおう。

NchS/DImpla

ステップ1で全面にインプラする。このときのソースは当然P(リン)である。昔はAs(ヒ素)を使ったりもしたが、今はほとんどがP(リン)であろう。でも、ごく最近は知らない。

ちなみに、ここでは一般的な非常にBasicなプロセスをとりあえず説明しているので、DDD(Double Diffused Drain)とかLDD(Lightly Doped Drain)のようなJunction耐圧対策のDrain構造は説明しない(そのうち説明するとは思うが)。DDD、LDDなどのような場合、P(リン)とAs(ヒ素)を両方使ったりもするから、一概に今はAs(ヒ素)は使わないとはいえないんだけどね。

そして、このときのインプラは前にインプラの原理のところで説明したように、High CurrentのImpla装置を使う。だいたいドーズ量にして、10の15乗オーダーのインプラをするためにたくさんの量を短時間でドバーっと打てるように大電流の装置を使うのだ。

基板側の濃度としては10の18乗ぐらいになるようにする。これは、キャリアのソース(供給源)として濃い濃度が必要で、かつ最終的にAlなどの電極とContact(電気的接触)をとるために高濃度が必要ということだ。単位はions/cm3だ。参考までに言うと、インプラドーズ量の場合単位はions/□てなかたちになり、□はcm2みたいなものと思っていればよい。ある一定のインプラ面積にイオンが何個っていう意味。だから、Impla Dosageと基板濃度はイコールではない。ここも初心者にはいまいちぴんと来ないところだろう。

この濃度の理屈に関しては、重要な式があって、

np=ni2

こういうのがある。nは電子のキャリア密度でN型の不純物の濃度と同じと思えばよい。pはHoleのキャリア密度でP型の不純物濃度と同じ。niは真性半導体のキャリア密度でだいたい1.5x10の10乗である。

この式は、電子とHoleのキャリア密度を掛け算すると真性半導体のキャリア密度であるniの2乗と等しいということ。niは定数だから、結局npは一定ということになる。だから例えImplaでいっぱい打っても、キャリア密度は10の20乗を超えることはない。今回の場合で言えば、P(リン)のドーズ量を上げても基板側の濃度としては10の20乗が限界ってことになるわけ。

そうこうしているうちにステップ2になる。これでめでたくインプラまで終了。このときのImplaではS/D部分のポリシリコン酸化の時の酸化膜がImplaのプロテクト膜として働いている。

Implaの後には、原子が入り込んで乱れたり傷ついた結晶格子などを直したり、不純物原子がちゃんと電気的になじむようにアニールってのが必要で、それをこの後行う。熱処理をしないとただのP(リン)の邪魔者でキャリアとして働く電子のドーパント(半導体として機能する不純物)にはならないわけだ。今までのImplaではWell Implaにしても、Field Implaにしてもその直後にWell拡散だとかField酸化という結果的にAnealの熱処理になるものがあったので、特別にAnealする必要はなかったわけ。

この後アニールに入るわけだが、普通インプラ後のアニールは800℃以上で行わないといけない。でも、あんまり高い温度で行うと、今まで入れてあるWellなどの濃度プロファイルが変わってしまうので、S/Dアニールのような工程では800℃ぴったりぐらいで行う。

インプラ後のアニールなら、この後Pch S/D Implaが終わった後にいっぺんにやればいいじゃん、なんて声も聞こえてきそうだが、そうは問屋が卸さない。B(ボロン)とP(リン)ではBのほうが拡散しやすいので同じ熱処理を加えてしまうと、Pch側のS/Dが余計に広がりすぎ、濃度プロファイルも薄くなってしまうのだ。

アニールが終わるとステップ3のようになる。ちゃんとS/D領域がN+として広がってできているのがわかる。

次はPch S/Dのプロセスだ。次回に続く。
posted by ピッコロ大魔王 at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Impla | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月24日

フィールドインプラ2

さてさて、前回の続きである。今回はインプラするところから。
以下の図を見てもらおう。

FieldImpla

Psub上のアクティブアリア回りにかたどったところだけに、窓が開いている。この状態で上から全面インプラをする。インプラするイオン種はB(ボロン)で、濃度的にはNwellのときのP(リン)より1ケタ多いぐらいが一般かな。Nwellが10の12乗台であれば、フィールドインプラはだいたい10の12乗の後半から13乗台じゃないだろうか。

インプラの加速エネルギー的には、Wellのときよりは少なく押さえる。これは、間違ってもActiveエリアのNitride膜を突っ切ってインプラされては困るからだ。NwellなどはP(リン)で原子的にもB(ボロン)より重たいので、例えばPを60keVぐらいでインプラするとして、ちょうど表面近傍に打ち込むとすると、フィールドインプラのBの場合は、だいたい30keVぐらいのエネルギーだったと思う。重さが倍ぐらい違うからね。まあこれはプロセスによって違ってくるのでだいたいの目安だ。つまり、Nitride膜の厚さや酸化膜の厚さは、工場や製品の種類、プロセスルールによって変わってくるので、それにあわせて逆算して打ち込み深さを決めるドーズエネルギーを設定している。

こうして、インプラが終わり、レジストも取っ払ってしまうと、ステップ3のようになる。Psub側のアクティブエリアの周りのわずかな表面部分にだけB(ボロン)が注入されている。

これで、前準備はほぼ終わりで、いよいよField酸化膜をつける工程になる。が、今回はここまで。次回はField酸化からである。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Impla | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月11日

インプラの原理

しかし、ここのBlogは朝10時台はほぼ死亡だな。
予告通り今回は前回の続きというか、保留項目のインプラ装置の簡単な原理とちょっとした小ネタを。

インプラってのはどういうふうにやっているかというと、まずB(ボロン)やP(リン)などのイオン種のソースが必要だ。イオン源、イオンソースなんていったりする。このソースってのはどういう形であるかというと、固体だったり気体だったりする。昔は違ったかもしれないが、一般的には固体ソースを使うんじゃないだろうか。

では、順を追って説明しよう。以下の図を参照して頂戴。

Impla

この絵、結構面倒だった。ま、そんなことはどうでもいいか。

まず、一番左のイオン源の中ではフィラメントがあって、そこに電流を流して熱電子を発生させる。その熱電子がソースである分子や原子にぶつかって、分解しイオン化する。例えばこの場合B(ボロン)がB+(ボロンイオン)になったとしよう。その後、イオン源の部屋の外にある引き出し電極ってのでイオンを引き出す。とっても簡単に言ってしまうと、B+に対してマイナスの電圧を引き出し電極にかければ、B+が引っ張られ、ビーンって飛んでくることになるわけだ。

その飛んできたのが、質量分析って部屋に入る。取り出したいイオン、この場合B+だけを出力するために、ここでは磁力がかけてあって、イオン自体を90度まげて飛ばすことになる。ここがポイントで、例えばB+より重いイオンは曲がりにくいため、図の右側の矢印のほうに飛んで行き、B+より軽い分子は曲がりやすく、図の左側の矢印に飛んでいくことになる。その結果、B+だけが真ん中の本線をたどることになる。

ソースの中でイオン化するっていっても、Bだけでも2価のイオンがあったり、わずかに残る不純物質(真空装置だからほんとは純粋にソース原子だけになる)の原子から別のイオンができたりと、最初から純粋にB+だけが取り出せるわけではない。

質量分析で曲げられて、邪魔なイオンは分析スリットでせき止められ、B+だけを次の加速管の中で加速することになる。まあ、図にあるようにウェハーと質量分析の出口のところに電圧をかけてイオンを引っぱって加速するわけだ。そして、最後にウェハーにドッカーンってぶつかって持っているエネルギー分Si原子を押し分けてもぐっていって止まる。この加速エネルギーを上げるとウェハーの深くに打ち込めるのがなんとなく分かるでしょう。つまりこの加速エネルギーで打ち込み深さを制御しているわけだ。

図の左下に書いてある式が、イオン注入量を設定する式である。注入量のことをドーズ量(Dose)とかDosageなんていう。ドーズ面積ってのは、ウェハーの面積であり、6インチとか8インチとかで値が変わってくる。普通は狙いたいドーズ量が決まっていると、それに対してどのくらいの電流を使うかを決めれば、この式からイオン注入の時間が決まってくる。電流は大きければ大きいほど時間が短くなって製造工程上は時間短縮でよいかもしれないが、ばらつきとか装置上の性能によってあまり極端なことはしない。例えば1秒と10秒では時間の測定誤差からいっても10秒のほうがいい。

で、装置の図のウェハーの周りのファラデーカップっていうのでイオンによる電流量を測定して、ちゃんと狙ったイオン数が打ち込まれたかを測定している。

この式に適当に数字を入れてみるとなんとなくわかるでしょう。ちなみに電流は通常Medium CurrentでuAオーダー、High CurrentでmAオーダーってところかな。だから10の12乗とか15乗とかのドーズ量でuA、mAの電流を設定してだいたい10秒ぐらいになれば適当かな。

ちなみに、深く打ち込みたいときは、2価のイオンなんかを使う。加速エネルギーにも限界があるから、その範囲内ということになれば、軽ければよりスピードが上がるよね。質量分析のところでB+の変わりにB++を取り出すようにすれば良い。このときは式のC(クーロン)の数字を変えないといけない。だって、B+ではイオン1個に対して電荷1だったのに、B++ではイオン1個で電荷2だから、同じようにカウントしてしまうと、イオンが少ないことになってしまう。ということは、Cは?。後は自分で考えて頂戴。参考までにB++ははっきりいってあんまり安定してないからめったに使わない。

加速エネルギーはだいたいkeVという単位で、通常ケブなんて発音する。

インプラもかなり奥が深くて、イオンを打ち込んでいるうちにウェハーがチャージしてしまう(帯電)のを押さえるために、エレクトロンシャワーなんてものを降り注いでいたり、まあいろいろ工夫を凝らしている。後は真空技術の塊であったりと、専門でやるには奥が深い。興味のある人もしくはこれから専門家になる人は専門書でみっちり学ぶ必要がある。今回示したものは、本当に基本中の基本の大まかなものである。

今回はこの程度で、インプラに関してもおいおい補足が出てくることだろう。さて、次回は何だっけ。そろそろ装置の予備説明はだいたいOKなのでプロセスとして次に進むか。Wellインプラの続きからだな。いやー、今日は史上最強に長かったかも。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:23| Comment(4) | TrackBack(0) | Impla | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月10日

インプラ

サーバがあまりにも重く、マイブログにすらなかなかたどりつけないので今日はやめようかと思ったが、少し回復したようなので、気をとりなおして再開。

今回は、前回の予告通り、インプラである。インプラとは正確にはイオンインプラ(Ion Impla)とかイオンインプランテーションとかイオン注入なんて言う。自分はあまり使わなかったがI/IとかI2なんて表現する人もいる(Ion ImplaのIとIね)。このインプラっていうのは骨とか歯とかでインプランテーションなんてことをいったりするから、想像つく人もいると思うが、注入っていうか埋め込みみたいなもんだ。

要するになんかのイオンをある深さに埋め込むわけだ。この場合、なんかのイオンっていうのは、B(ボロン)、P(リン)、As(ヒ素)だと思えばまず間違いない。
これらのSiに対しての不純物と呼ばれるものをウェハー中に入れる方法がインプラなのである。ではなぜこんな方法がとられるのだろう。

以前少し触れたが、不純物をウェハー中に入れるためには、Depositoin(デポ)とかDoping(ドーピング)と呼ばれる方法もある。これは、拡散炉と呼ばれる形としては酸化炉と全く同じ装置を使い、その中に例えばB(ボロン)をウェハー中に入れたければ、BBr3というガスを混ぜ、P(リン)を入れたければPOCl3(業界ではポックルなんて呼ぶ)というガスを混ぜて熱処理を行う。するとウェハー表面にこれらのガスによりBやPが入り込むわけだ。今でもゲート電極に使われているCVD膜である多結晶シリコンをN型のSiにするためにPOCl3によるドーピングが使われている。

しかしながら、この熱処理の拡散という方法では、不純物の注入量が正確にコントロールできない。だから、ドバーってべったりとドーピングするとき以外には今では使われない。イメージとしては水蒸気の中に入って皮膚にべったりと水滴がつくってな感じで、ボロンやリンがべたってウェハー上につくって感じ。その表面についた不純物が熱処理によってブワーってウェハー中に潜って広がっていくわけだ。当然その不純物の濃度勾配は深さ方向に熱拡散の拡散方程式による分布をとることになる。ベターってつくから拡散路の掃除も大変なんだけどね(こまめに掃除しないとパーティクルの発生源になる)。

これに対して、インプラっていうのは非常に優れていて、注入するイオンの数を一個単位で制御でき(まあ実際には1個単位でやっているわけではないが)、おまけに注入する深さまでコントロールできる。深さに関しては、当然分布は持つが、分布の頂点をターゲット深さとすると、いきなりウェハーの表面下3000オングストロームなんてところに打ち込めたりするのだ。

その制御はどうやってしているのかというと、イオン数は電流の量としてカウントし制御していて、深さはイオンを加速するときのエネルギーで制御する。その仕組みはちょっとした図が必要なのだが、絵を描くのが面倒なので次回にするとしよう。

イオン注入の装置としては一般的にはMedium Current(ミディアムカーレント)インプラという中電流の装置とHigh Current(ハイカーレント)インプラという高電流の装置がある。Medium Currentは名の通りそんなにでかくない電流だから、インプラできる不純物の量もそんなに多くなく、最初のほうの工程で使う。High Currentの場合はたくさん不純物を注入でき通常は最後のほうにあるS/D(ソースドレイン)のインプラのように電極としてかなり濃い不純物が必要な場合に使う。

現場的には当然注入量の多いHigh Currentのほうがウェハーの処理に時間がかかる。そして、装置は電流のお化けだからやたらめったらでかい。High Currentなんかは4畳半ぐらいあるんじゃないかな?

ちなみに正確な注入量が必要なのは、例えばWellなどの拡散層を回路上の抵抗として使ったり、トランジスタの心臓部であるチャネル部分の不純物濃度がVthを決めている、などの理由である。

さ、次回はインプラの仕組みというか機構のはなし。どうやって絵を準備しよう。
posted by ピッコロ大魔王 at 13:17| Comment(6) | TrackBack(0) | Impla | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月27日

Wellインプラ

いやー、週末あけて新しい記事更新したらアクセスがすんげー増えてビックラこいた。今日は全国的に天気も悪いし、あ、日記じゃなかった。

本題です。今回はWellインプラというお題だが、今後新しいプロセスがどんどん出てくるので、そのつど横道にずれることになるだろう。

Wellってのは井戸っていう意味なんだけど、まあウェハー基板中に井戸のような構造ができるってことかな。基本的なことから復習すると、CMOSプロセスってのはPMOS、NMOS両方を一つのウェハー基板上に作ると以前述べた。そして、一般的にはB(ボロン)があらかじめ混入されているPタイプの不純物半導体をウェハー基板として使うことが多いとも述べた。

しかし、Pタイプの基板の上にNMOSを作るのは当たり前にできるが、PMOSを作るのは当たり前にはできない。だって、PsubにP+のソースドレイン作ったって、全部同じ極性だから、ただの電流の通り道で、常に電流がつーつーのオンしっぱなしのトランジスタにしかならない。これじゃあ、抵抗として使うのならいいけど、スイッチとして使うトランジスタにはならない。

そこで、昔の人は知恵を働かせた。Psubの中にN-の領域を作って、あたかもNsubのように振舞う場所を作ってあげればいいだろうと。その領域にPMOSを作ればちゃんとトランジスタになるというわけだ。その領域のことをWell(ウェル)と呼び、NタイプのWellをNwellと呼んでいる。

じゃあ、そのNwellを作るためにはどうするか。Nタイプの不純物半導体をSi基板中に入れないといけない。ウェハー中に後から不純物を入れる方法としてはDeposition(デポジション)というのとImpla(インプラ)という方法がある。注入する量のコントロールが良いのはインプラのほうなので、ほとんどの場合にインプラを使う。で、今回のNwellの形成のための不純物注入にも、インプラを使い不純物としてはP(リン)を使用する。デポジション(デポ)もインプラの詳細も次回以降説明する。

さらに、Nwellの領域を作るためにある特定の部分だけにインプラをするために、パターン加工をしなければいけない。その仕組みは、写真技術と同じ仕組みだ。写真のフィルムに値するのが、レジスト(Resist)と呼ばれる有機溶剤で、それを光で露光し、現像すし、ウェハー上にレジストでできたパターンを作成するわけだ。そのパターンの窓が開いた部分だけに、インプラされるようになる。このパターン作製の工程をPhotolitho(フォトリソ)工程などと呼び、Photolithographyなどとも言っている。これも次回以降に詳しく述べることになるだろう。

さて、言葉で説明していても良く分からないと思うので、以下の図を見てもらおう。とりあえずNwellインプラまでのプロセスステップだ。

Wellインプラ

これは、前回のInitial(最初の)酸化膜を除去した後からの続きだ。
まず1から始め、2で酸化膜をつける。だいたい1000Åぐらいかな。Dry酸化でやると思う。この膜は、インプラを受けると一番表面にダメージを受けるので、そのダメージがSiウェハー表面に直接行かないように保護膜として使っている。また、その後のMask(パターンが書いてあるガラスでできたもの)合わせのための跡残しのためにも必要だ(これは、露光のところで詳しく述べる)。

次に3でResistを乗せて、4で露光、現像をしてResistでできたパターンを作る。その後5でウェハー前面にインプラでP(リン)を打ち付けると、4で作ったResistのパターンの窓の開いた部分のSi基板中にだけ、P(リン)が注入されることになる。ちなみに、他の部分はResistの厚さでインプラされたP(リン)がSi表面まで届かないわけだ。

今回も激しく長くなってしまったが、次回は予告通り横道にそれて、Photolitho工程の話をしばらくする。その次はインプラかな。
では続く。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | Impla | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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