2004年06月16日

多層配線2

多層配線の続きである。
早速次のステップに進む。以下の図を見てもらおう。

Via

2層メタルなど多層配線は、それ自体で何階建ての建物のように各層が独立していても意味がない。だから、今作っている層はその下にあるメタルと、回路的に必要な部分をコンタクトさせる必要がある。要するにこの場合、1st Alと2nd Alをどこかでつなぐわけだ。そのためにコンタクトホールを空ける必要がある。この層間絶縁膜にあける穴のことをVia(ヴィア)とかVia Holeなどと呼んでいる。

そのためのPhoto工程がステップ5、Etching工程がステップ6である。まあ、実際にはここの図で示しているような配線を2ndメタルですることはまずないと思うが、ここで作った図の中で分かりやすい形になるようにした。だから、回路的な考慮は深く追求しなくて良い。

当然、ステップ6は酸化膜のDry Etchを使う。こうしてめでたくViaが開いた。そして、次の図である。

2ndAl

Resistを取っ払った後に、2nd Alをスパッタでくっつけるとステップ7になる。その後、Photo工程は省くが、Al Etchをするとステップ8のようになる。

こうするとPMOSのS/DのどちらかとNMOSのS/Dのどちらかがつながることになる。まあ、実際にはこんなに隣接した場所では、わざわざ2ndメタルでつながなくても1stメタルでつなげばいいので、こんな図はまずないが、これで2層メタルの作り方がなんとなくわかるだろう。この後のプロセスは、前に説明したPassivationのプロセスをやればいいわけだ。

これでおしまい。

さて、今回の記事を書いているときにふと思い出したのだが、次回は、以前最後の形ができたら説明するといっていたFieldトランジスタの話をちょこっとしよう。
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多層配線

今回は予告通り2層メタルのところを大急ぎで突っ走る。
多層配線の基本は2層配線で、層が増えるごとに平坦化に気を使うだとかいろいろあるが、ほぼ2層メタルのプロセスの組み合わせだと思えばよいだろう。

話は、メタルエッチまで戻り、そこからの続きで以下の図になる。

Etchback

まずは、ステップ1でSiO2を乗っける。こいつはノンドープのSiO2でCVD膜だ。TEOS(TetraEthOxySilane)という液体を使った膜などが層間絶縁膜では良く使われる。Si(OC2H5)4とこんな組成だ。こいつを使ってCVDのように成膜する。通常、TEOSというとTEOS膜のことをさす場合が多い。

図ではつぎのEtch Backを分かりやすくするために、わざわざ凸凹を強調した。そして、ステップ2でEtch BackのためのResistを全面に塗布する。次の図を見てもらおう。

Etchback2

ステップ3は上からDry Etchの装置でバーっとエッチングしていった途中の状態。上のほうのへこみにわずかにResistが残っていて、徐々に平坦化がされているのが分かるだろう。そして、ステップ4で完全にまっ平ら。実際にはこのように完璧な状態になるわけでもないが、凸凹の強調にしろ、模式的に分かりやすいようにこのようにした。

4層メタルなどのさらなる多層配線の場合はCMPを使う場合が多いかもしれない。

図が多いのでいったんここで区切る。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:26| Comment(0) | TrackBack(0) | Etching | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月15日

Pad工程

前回の続きで、Padの穴あけ工程から。そもそもPassivationのPhoto工程ってのは、ろくに穴を開ける部分がない。そりゃー全面を保護する役目なのだから、当たり前といえば当たり前なのだが、穴を開ける部分はBonding Padと呼ばれる部分だけだ。

まずはその様子を視覚的にイメージできるように以下の図を見てもらおう。

BondingPad

この図は、超模式的で全く正確ではないが、感覚的に理解するにはよいと思う。まず、Bondign Padだが、これは今後の組立工程でリードフレームというところにチップを乗せて、そのゲジゲジの足の根元の部分と細い金のワイヤーでつなぐための、接続部分だ。そのワイヤーのことをBonding Wireとよび、チップのほうのPadをBonding Padと呼ぶわけだ。図の番号がふってある周囲の四角だ。

回路の端子を取り出すのに、ワイヤーの太さがあるので、周辺部分にPadが必要になる。例えば、図中の真ん中にある、トランジスタのゲート、ソース、ドレインは小さすぎて直接ワイヤーをつなげたり、針を当てたりできないからね。だから、この図でいえば、ソースの端子が2番、ゲートの端子が3番、ドレインの端子が6番といった具合になる。

実は、ウェハー工程の最後の電気的検査をするときもこのパッドに針を当てて検査する。実際は各PadがVdd(電源電圧)、Vin(入力電圧)、GNDなどの回路上のおもな入出力端子となる。

このようなPadを含めた配線がメタル配線の工程で作られるわけだが、今回のPadの工程では全面絶縁膜で覆われたウェハー上、Padの部分だけ穴を開けるのだ。図では、点々のついたところがAlで、Padの真ん中部分の番号のふってある白い部分だけ、Pad Photoで窓が開くことになる。実際はPassivation膜は透明なので、図の白い部分も下のAlの点々が見えているが、ここでは分かりやすいように白塗りにした。

で、本当はPad以外はPassivation膜に窓は開けないけれど、あえて今までのプロセス断面図に加えていくと以下のようになる。図のステップ番号は前回の続きで3番から。

PadPhoto

ステップ3はPhoto工程が終わり、Resistの窓明けができたところ。ステップ4は、一番上のSiN(ナイトライド膜)のエッチングが終わったところ。これは昔はWet Etchでやったかもしれないが、今はDry Etchでやるのだろう。続きは以下の図。

PadEtch

ステップ5は、次のPSGをエッチングしたところ。これも、昔はWet Etchでやったのだろうが今はDry Etchかもしれない。この辺はよくわからない。PadのEtchingなんて、バカ抜きEtch(造語である)であり非常に大雑把なEtchingでいいので、個人的にはWet Etchでジャポンとバッチ処理をしたほうが効率がよいと思う。

最後にResistを除去しておしまい。

Pad Etchで唯一気をつけなければいけないのは、一番上のPadの図でAl Padの部分より内側に窓が開いているけど、これがオーバーエッチでAl Padの外側まで窓が開いてしまうミスだ。要するにAl Padの周囲がPassivation膜でカバーされていない状態である。これは、組立後の不純物の進入などの原因となり、信頼性上引っかかる。

さて、これで一通り、一般的なCMOSプロセスの説明は終了。
次は、多少半導体物理の話に移って、まずはダイオードとかキャパシタの話でもしようと思うが、その前にお約束のDouble Metal(2層配線)のプロセスの説明でもしよう。
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2004年06月11日

メタルエッチ

ちょっと用事があるので早めに更新。今回は前々回の続きからである。前々回はResistのパターンを作ったところまでで終わった。今回はEtchingに入る。

以下の図を見てもらおう。

Al2

ステップ1でいきなりDry Etch。Alなどのメタルエッチでは、Etchingの装置自体が他のDry Etchの装置と違う場合が多い。例えば、SiO2とPoly Si、NitrideのEtchingは似たり寄ったりの装置で、下手すりゃSiOとNitrideは同じ装置を共用したりする。これは選択比のところで説明した、Etching gasによる。

そこにあるように、特にAlエッチの場合、塩素系のガスしか使わないところがポイントである。基本的に塩素系だと腐食とかを起こしやすいので、細心の注意が必要である。

さらにメタルエッチの場合、CVD膜をつけた後であるとか、メタルそのものの成膜の状態などの理由から、デガスと呼ばれる膜からのガスの放出などがあり、確か真空系も強力なはずだ。

Etchingが終わって、Resistを除去するとめでたくステップ2のような状態になる。この後、すぐに純水でウェハーを洗浄することが大事である。そのままにしておくと、エッチングガスの残留塩素により、Alの表面が腐食されてしまうからである。こういうのをAlコロージョンと呼んでいる(まあ、英語のカタカナ読みそのままだけどね)。

このときAl自体は純水につけておくだけでも、少しずつEtchingされるので、あまり長時間は純水に浸けておくわけにはいかない。たまに忘れてしまって、純水の槽の中に入れっぱなしにしておいたりすると、せっかく作ったAl配線がきれいさっぱりなくなっているなんてことが起こる。

この純水洗浄が終わると、次はシンター(Sintering)というのを行う。普通金属が半導体に接触すると、ショットキーダイオードができてしまうことがあり、こいつを熱処理して接触面を合金化してあげるというのがシンターだ。こういう接触をオーミックコンタクトと言って、ちゃんと電流が両方向に流れるような導体になる。

分かっているとは思うが、ショットキーダイオードとはその名のとおり、一方向にしか電流が流れないものである。ショットキーは、ショットキーバリアなんて名からきているが(ちょっと違うけど)、まあこれはそのうちデバイス物理のところで触れるであろう。

シンターは実はH2(水素ガス)を流しながらやるというのがポイントで、このガスが合金化(アロイ)に重要な役割を果たしている。温度はそれほど高くなく450℃ぐらいだったかな?水素がAlと基板の界面に達して電子のやり取りを補助するんだっけな?忘れた。

でも、このプロセス、水素ガスを使って、温度を低温とはいえ上げるわけだから、非常にいやな感じのプロセスである。ショットキーダイオードができることもある、っていうことはできないこともあるわけだから、Sinterをしなくても大丈夫な場合もある。だから、大学の実験室レベルでは、結構危険だからとりあえずはSinterなしでやってみる、なんて方法もある。

これで、メタル工程はおしまい。次はいよいよ最後のPassivation。2層メタルなどの多層のプロセスはいったん全部終わってから、最後に付け足すとしよう。
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2004年05月20日

選択比

今日は久しぶりに朝からえらく重たいなあ。

今回は前回の続きの話で、選択比の話から始めよう。

ドライエッチのEtching Rateというのを決めるのは、選択比というのが大きくものをいっている。前回のエンドポイントの話ところでは、Nitirde膜と酸化膜のEtching Rateの違いイコールNitride膜と酸化膜の選択比がいくつとなる。実際のEtching Rateの決定は、エッチングしたい膜とレジストとの選択比で決まってくる。ドライエッチの場合レジストもエッチングされて目減りしてしまうのだ。

だから、エッチングガスの混合比などでレジストのEtching Rateが大きくなってしまうと、Nitride膜をエッチングし終わるまでレジストがもたなくて、レジストパターンがなくなってしまうなんてことが起こる。これだとパターンができなくて、まずいわけだ。選択比が1なんていうと、レジストもNitiride膜も同じRateで削れてしまうってことだ。よく覚えてないが、レジストとの選択比は3ぐらいにするようにしているんだっけな?選択比3の場合はもしレジストとエッチングしたい膜が同じ膜厚であれば、エッチングが終わるときにレジストは1/3しか目減りしてないわけだ。

ま、そんなこんなで、Etching Rateを製造現場の効率とかね合わせながら決めているわけだ。速すぎてもばらつきが大きすぎたり、選択比の問題が起こったりするからね。でもだいたいウェハー1枚あたり1分ぐらいに設定するのかな。だから、そうするためには成膜工程後には膜厚をちゃんと測定しないといけない。それもウェハー面内5点ぐらいね。ウェハーには面内ばらつきがあるから、なるべく均一にエッチングするためには、ちょうど良いところで終わるようにしないといけないからだ。もちろんエッチング残りがあるのが最悪なので、それは避ける。

ところで1枚あたりといったが、エッチングの装置には(半導体装置にはというべきかもしれないが)、枚様式とバッチ式というのがあって、枚様式は1枚1枚のウェハーを、バッチ式は数枚から数十枚のウェハーを1度に処理するものである。現在ではエッチング装置はほとんどが枚様式ではないだろうか。枚様式のほうが加工精度が良かったり、処理時間が速かったりというメリットが多い。

他にもマイクロローディングなんて悪さがあったりして、これに対しても枚様式のほうが強いといわれている。マイクロローディングとは、レジストパターンによって、必要以上にエッチングが加速してしまうという現象だ。具体的にいうと、例えばポリシリコンのゲートなどでは回路のレイアウト的に、トランジスタが特に少ない場所などができてしまう。すると、そこを大量にエッチングするのだが、レジストによる被覆が周りにほとんどないために、実際のEtching Rateが上がってしまうようなことが起こるわけだ。レジストの選択比のほうが高くてエッチングされないから、レジストパターンの多いところは結果的にレジストがエッチングを抑える働きをしている。

マイクロローディングはかなり曲者で、エッチングのプロセス条件のチューニングだけではどうしても対処できない場合があり、その場合下手をすると、マスクの全レイヤー変更なんて話になる。

半導体の設計者もこの辺のところはプロセスエンジニアとコミュニケーションを密にして仕事をしないといけないところだ。

エッチングガスの代表的なものは以下の通りだ。
酸化膜、窒化膜:フッ素系ガス(CHF3,C2F6)
Poly Si:塩素系/フッ素系ガス(CCl4,CF4)
Al:塩素系ガス(BCl3,Cl2)
Poly Si,Alのドライエッチはこの先出てくる。

最後に、装置の工夫の話を。エッチング装置もいろいろ改良されていて、今ではチャンバーの中が2つの部屋に分かれていることが多い。一つはプラズマを作る部屋、もう一つは真空に引く部屋である。なるべく異方性を高めるには、途中でぶつかる物質が少ないほうが良い。LPCVDのところで話した平均自由行程ね(Mean Free Path)。それには低圧が良い。でも、速いEtching Rateで処理速度を上げるためには、たくさんのプラズマがいる。それには高圧が必要である。だから、わずかなスリットのようなものをあけて、プラズマガスが通り抜けられるようにして、2つの部屋にするわけだ。

これで、ドライエッチの話は終わるが、とにかく工程はパターン加工するメインのプロセスなので、ウェハープロセス上非常に大切である。だから、ちょっとしたことが致命傷になるのでいろいろ知恵も蓄積されている。そんなわけで話題には事欠かない。今後も時折プロセスの匠的なことが出てくるであろう。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:12| Comment(8) | TrackBack(0) | Etching | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月19日

ドライエッチ

前々回長すぎるから分割、とやったが、昨日何気なく下のほうにスクロールして、前の記事を見ると前々回の比じゃないほど長いのもある。これは、レイアウトを変えて記事の部分をセンターに持ってきたために、縦長になってしまったせいだ。いまさら全部を分割して適当な長さにする気にもならないので、そのままほっておくことにした。

さて、今回は予告通りドライエッチの話だ。一般的にはドライエッチはRIE(Reactive Ion Etching)のことをさす。CDE(Chemical Dry Etching)なんてのもあるが、これは少数だろう。

ドライエッチのさわりを説明しよう。

ドライエッチは、チャンバーと呼ばれるおわんをひっくり返したような形のドーム中にウェハーをセットして、そこを真空にして処理を行う。真空になったら、エッチングガスを流し、プラズマ状態にして、ドームの上のほうにある電極とウェハーに接触させている電極の間で、ガスを加速しウェハーにぶつける。

非常に模式的で大まかだが、以下の図を見てもらおう。

RIE

図にあるようにチャンバー内にガスを流し、高周波電源でプラズマを発生させる。このとき、プラズマ中にはイオン化された反応ガスと電気的に中性な反応ガス(ラジカル)が混在している。でもって、まずウェハー上のエッチングしたい膜にラジカルがくっつく、それを上部下部の電極間で加速されたイオン化反応ガスをぶつけることによってエッチングを進めていく。ラジカルが反応しただけでは、取れないからイオンでメカニカルに取っ払ってしまうという2段階攻撃をするわけだ。取れたらVacuumしてしまう。

このとき、電極で一方向にガスが引っぱられ垂直に入射するので、エッチングの断面が垂直方向にスパッと切れるわけだ。これがウェットエッチとの大きな違いである。ただ、これも何らかの装置トラブルでエッチング時間が長くなってしまったりすると、ウェットほどではないがサイドエッチが増えてしまう。

ちなみに、ウェットエッチのように縦横と同じようにエッチングされるものを等方性エッチ(Isotorpic Etch)といい、ドライエッチのように垂直に切れるのを異方性エッチ(Unisotoropic Etch)と呼ぶ。

ドライエッチの場合ガスが垂直方向に入るのに加えて、反応して取り除かれた反応性生物がサイドエッチを抑える働きをしている。つまり、ほとんどの反応性生物は真空ポンプでVacuumされてしまうが、一部がエッチングされた膜の側壁にへばりついて、それ以上のサイドエッチを押さえているわけだ。すごいねー。

さらにこのドライエッチ、非常にうまくできていて、装置が勝手にエンドポイントというのを測定していて、そのポイントから数秒したらエッチングを終わるというようになっている。確か、反応の光を検知しているんだと思う。ここのナイトライドエッチの場合、ナイトライドのEtching Rateと下地の酸化膜のEtching Rateが違うので、発光状態が変わり、そこでエンドポイントを検知できるわけだ。

ちょっと長いから、ここでいったん切る。続きは選択比の話から。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:35| Comment(1) | TrackBack(0) | Etching | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月26日

乾燥

今日は大サービスで2回目やってしまおう。前回の予告の通り乾燥の話。まあ、短くてすむだろうから、2回目でもいいだろう。

乾燥というと、なんか普通にある言葉だし、そんなの大事なのかなあ、などという感想を持つかもしれないが(駄洒落ではない)、これが結構大事なのだ。

一般に乾燥工程というのは洗浄工程の後に行う。洗浄の最後は純水できれいに洗うんだけど、それをそのまま出して置いといただけでは、乾かない。当たり前だ。しかし、これが結構重要なのだ。ぬれたままだと、空気中のパーティクルも取り込んだりしてせっかく洗ったのに、また汚してしまう。

さらに最悪なのは、通称ウォーターマーク(Water Mark)なるものができてしまうことだ。洗浄のときにも少し触れたが、きれいなSiウェハー表面は水があるだけで、わずかながら酸化膜ができてしまう。これは、とても困る。本来酸化膜があるべきところじゃない所に酸化膜ができてしまうのだから、何か不具合が起こっても不思議じゃないし、実際に不具合が起こる。この水が残ったためにできる酸化膜のことをWater Markという。

また、パターン加工がされているウェハーというのは、高さ的に段差があるわけだけど、乾燥をしても十分乾燥されていないと、そのパターンの段差部分に水が残る。そのまま酸化炉とか拡散炉の高温熱処理を行う炉に入ってしまうと、水が残っている部分に酸化膜が余計についてしまうことがある。一般にはこっちのほうを特にWater Markと呼ぶんだけど、これは非常に困る。例えば後で出てくるゲート酸化膜を作る工程でこんなことが起こると、その部分の膜厚は異常に厚くなり、膜質も悪くなり、耐圧が悪くなったりする(耐圧もそのうち出てくる)。もうトランジスタとしては、ぼろぼろ。

イメージとしては、長方形のパターンの直角の角に、扇形の予期せぬ酸化膜のパターンができてしまうという感じだ。まるで扇状地みたい。

さて、乾燥には普通Spin Dryer(スピンドライヤー)という装置を使う。洗濯機のでかいような装置で、空気を引きながら、くるくる回しながら遠心力で脱水するような感じだ。一分間に何回転かは忘れたが、せいぜい1分か2分まわすと乾燥が終わる。ポイントは水から上げたらすぐ装置に入れて乾燥することだ。実は、もう一つ大きなポイントがあって、それはウェハー表面が、親水性になっているか疎水性になっているかによって乾燥がうまくいく行かないがあったりする。

一見、疎水性になっていたほうが水をはじいていいような感じもするが、実はそうでもない。疎水性になっていると、上に述べたパターンの角っこで、水が止まってしまいそのまま残る場合がある。それに対して、表面が親水性の場合は、遠心力でつーーって感じできれいにウェハーの端まで流れて行ってくれるので、こっちのほうが水がきれいさっぱりなくなったりするわけだ。うーん、深いねえ。

他にも、IPA洗浄というか、IPA乾燥というのがある。これはイソプロピルアルコールにウェハーを浸けて、アルコールの揮発によって乾燥させるという方法だ。これは、うまくやらないと、アルコールのカスが残ってしまうので、使わない場合も多い。注射の消毒するときも、乾燥すると白く跡が残ったりするでしょ。

結局また長くなってしまったが、乾燥に関してはとりあえずこれで終わり。だらだら書いていただけだから、長くなってもそれほど苦労ではなかったが。次回は、いよいよ最初のパターン加工、Wellがスタートかな。
posted by ピッコロ大魔王 at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | Etching | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

洗浄工程

最近では定例のようになってしまった週末の休講を経て、再び再開。今回は前回の予告通り洗浄のお話。洗浄工程も半導体プロセスの中では重要な分野で、いまや一大分野を築いている。だから、ちゃんとしたお勉強は専門書で行ってください。まーとにかく歴史が古く、いろいろな変遷があり、複雑である。

さて、洗浄とはそもそも何のために行うのであろう?先日、この講座でもさらりと述べたが、目的とは大きく分けて2つある。

1:パーティクル(ゴミ)を減らす。
2:金属汚染を避ける。

以上の2つである。まずパーティクルに関してだが、半導体業界では、ウェハーの上、環境(工場内の空気中)内、装置内、薬液中などの中にあるゴミのことを一般にパーティクルと呼んでいる。で、このパーティクルは半導体製品を作るうえで、とても問題となる不具合を起こすことが分かっている。だから、何とかしてこのパーティクルを減らそうと考えているわけだ。

例えば、普通半導体工場内の製品を作る部屋のことを、クリーンルームと呼んでいるが、これはパーティクルが少ないという意味でクリーンなのだ。じゃあ、どうやっているか?まず空気をきれいなものと入れ替えるように循環させているのだが、その途中にヘパフィルター、とかウルパなどと呼ばれる非常に目の細かいフィルターをかまして、そこでパーティクルを捕らえるということをやっている。

クラス10(テン)とかクラス100とかいう言葉がクリーンルームの清浄度を表す言葉として使われるが、これは1立方メートルあたりの0.何μm以上のサイズのパーティクルがいくつあるかという単位である。そりゃーもうすごいレベルなのだ。普通のみんなが暮らしている部屋の環境は、おそらくクラス何万とかクラス何億といったレベルだろう。

装置内もしかり、使う薬品もしかりで、とにかくパーティクル管理というのが重要なのだ。しかし、ウェハーを加工していく段階でどうしてもウェハー表面にパーティクルが付着してしまうことが起こる。そりゃあ、クラス何とかといってもクラス0(ゼロ)じゃないからね。

だから、膜をつけるプロセスの前には必ずパーティクル除去のための洗浄をすることになる。まあ、エッチングなどの加工をした後のカスをとるときや、レジストをとった後にも洗浄するけど、重要なのは成膜工程の前だ。なぜなら、パーティクルがあった場合に、新たにその上に膜が積層されてしまったら、取り除けなくなるからだ。そうすると、そのパーティクルが悪さをしようが、それ以降はなすすべはなしとなる。

ちなみに、洗浄に使われている、半導体工場の水は純水と呼ばれていて、不純物が全くない水だ。まったくというと言いすぎかもしれないが、限りなくゼロに近い。普通の水道水にはカルキや多少の鉱物(金属)が入っているし、おいしい水と呼ばれる清水などには鉱物のイオンがいろいろ混じっている。しかし、この不純物が、パーティクルになったり、金属汚染のもとになる金属イオンになる。

だから、特殊な装置を使って、純水というのを作る。純水は不純物がないので、電気を通さない。だから、工場では純水のレベルを管理するために、水の抵抗(比抵抗だっけな?)を常時計っている。確か、11メグとかが基準値だったような気がするが、よく覚えていない。11メグというのは11MΩ(メガオーム)のことで、すんげー抵抗が高く、ほとんど電流を通さないってことがわかる。

2番目の金属汚染っていうのは、金属イオンがウェハー表面とかにつくと、簡単にウェハー内部に取り込まれたり、成膜された膜中にトラップ(捕捉されてしまうことをこう呼ぶ)されてしまうという意味だ。金属がトラップされてしまうと、本来電子やホール(正孔)だけがキャリアとして動作するはずのトランジスタなどに、可動イオンと呼ばれる動きやすい金属イオンが存在することになり、その動きで誤動作や、リーク電流(漏れ電流)が増えてしまうことになり、トランジスタとして機能しなくなったりする。すると、製品としては使い物にならない。

また、金属汚染というのはかなり厄介で、最初は適度に分散されているから、問題にならなくても、使っているうちにどこかに集まってきて、そのうちデバイスが壊れたりする。こういうことがないように信頼性試験と呼ばれる、高温高湿高バイアスの加速試験をするのだが、金属汚染が厄介だということに変わりはない。だから、何とかして金属を除去しようと苦労しているわけだ。

長々と説明してしまったが最後に、洗浄液について。数回前にも述べたが、洗浄液の有名どころでは3つぐらいある。

SC-1:NH4OH:H2O2:H2O(1:1:5)
SC-2:HCl:H2O2:H2O
硫酸加水:H2O2:H2O(ほどほど:大量)

SC-1はパーティクル除去が主目的で、ちょっとした化学反応で表面をわずかに削って(エッチングして)パーティクルとともに取り除く。SC-2は混合比率は忘れちゃったけど、金属不純物を取り除く。上記両者は、連続して行われ、温度はだいたい80℃とか90℃のはずだ。ちなみにこの一連の洗浄で、自然に酸化膜がウェハー表面にできてしまうから(実は純水につけておくだけでも、きれいなSi表面にはわずかに酸化膜ができてしまう)、すぐに希フッ酸(HF:H2Oが1:50とか1:100だっけな?)で自然酸化膜を取り除く。これで、一般的な成膜前の洗浄は終わり。

硫酸加水は、昔はパーティクル除去にも使われたけど、今ではかえってパーティクルを増やすなどという説もあり、レジスト除去後の残りかす完全掃除的に使われることが多いんじゃないか。これも、80℃ぐらいの温度だったような気がする。

そのほかにも、RCA洗浄等というものもあるが、これは昔、アメリカのRCA社が発明した洗浄方法で、今では使われているかどうか分からない。基本的にはSC-1と同じようなものだ。

以上説明した細かい機構や洗浄の反応の仕組みなどは、専門書で詳しく述べてあるので、そこで勉強していただきたい。

次回は何にしようかなあ。乾燥とか洗浄不足の不具合の話でも短くしようかな。続く。
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2004年04月23日

エッチング

さて今回はエッチングの話だ。エッチングっていうと半導体プロセスの場合、膜を削ることをいう。方法としてはウェットエッチとドライエッチの2種類ある。

ウェットエッチは、化学薬品の水溶液を使い化学反応によって膜を削るものだ。ドライエッチは、一般にはチャンバーという容器を真空に近づけ、エッチングガス(化学ガス)をプラズマ状態にし、電極の間で加速した反応ガスをウェハー表面にぶつけて、メカニカルな力と化学反応の力で膜を削るものだ。

大きな特徴としては、ウェットエッチは簡単で速い、でもドライエッチは難しく、Etching rate(エッチング速度)も遅いが非常に精度よく加工できる。その違いは、図で見たほうが良く分かるだろう。以下の図を眺めてもらおう。

エッチング

図中のレジストって描いてあるところは、そのうち説明するが、何かの膜を削るときに、マスクとして削りたくない部分を隠す有機溶剤でできた膜だ。それは置いといて、ウェットエッチとドライエッチの図を見比べて欲しい。ドライエッチは真直ぐすとんと下に削れているのに、ウェットエッチは横方向にも削れているのが分かるだろう。

この横方向に削れるというのが曲者だ。狙った線よりも余計に削れてしまうわけだからね。このように形状的に両者のエッチングには大きな差がある。

ここでは、まずウェットエッチの話をする。ドライエッチはまた後で。

ウェットエッチの対象の膜としては、酸化膜(SiO2)、窒化膜(SiN)、Al膜がある。まあ、最近ではAlをウェットで削ることはあまりないと思うが、昔はあった。ちなみに、洗浄工程を含めてウェットプロセスなんて言ったりもする。洗浄も広い意味ではウェットエッチに近いからね。

酸化膜のエッチング溶液としては、有名どころでNH4F:HF:H2Oの水溶液、HF:H2Oの水溶液がある。この混合比率は狙っているEtching Rateによって違う。分厚い酸化膜であまり加工精度を気にしなくても良い場合は、速いEtching Rateの溶液をつかい、薄い酸化膜で加工精度を気にするときには遅いEtching Rateの溶液を使う。温度はだいたい25度ぐらいの常温。

薄い膜で速いRateの液を使ったりすると、横方向にどんどんエッチングされたり、Si基板の表面を痛めつけたりで、いろいろと困ることがある。ちなみに横方向のエッチングのことをサイドエッチと呼んでいて、だいたい縦方向の8割ぐらいの比率で削れる。

窒化膜のエッチング溶液としては、リン酸溶液(H3PO4:HNO3)を使う。これは温度を高くして使うので、レジストは使えないから(レジストも溶けちゃう)パターニングに使うときは、いろいろ技が必要だった。でも最近ではパターニングではドライエッチを使うので、もっぱら全面剥離(いらなくなった膜を全部取っちゃう)のために使われる。温度は150度ぐらいだったっけなあ、忘れちゃった。ちなみに窒化膜はシリコンナイトライドなんだけど、普通は簡単にナイトライド膜っていう。Si3N4としないでSiNってするのは、必ずしも3対4できれいにできているわけではないのでこう書く。

Alのウェットエッチは取り除くだけなら、硫酸加水(H2SO4:H2O2)で溶けちゃうけど、加工として使うなら、ナイトライド膜と同じようにH3PO4:HNO3のリン酸溶液を使う。でも、今じゃあほとんどドライエッチだから、この辺は知らなくてもすむだろう。

ついでといっては何だが、ゲートに使うPolySi(後で出てくる)やSi基板もウェットで削ろうと思えば削れる。その場合、HF:HNO3の溶液を使う。でもこれも知らなくて良い。

基本的にはSiO2とSiNだけ押さえとけば今のウェットエッチはOKだろう。詳しい混合比率とか温度の条件は会社や工場によって違うのでなんともいえないが、専門の教科書などでは典型的な条件は載っているでしょう。Etching Rateも工場により膜質が違ったりするので、同じ組成の溶液でも一概には決まらない。検索するならウェットエッチとか酸化膜とかですれば詳しいのが出てると思う。

ちょっと長くなりすぎたが、この辺で終わる。ウェットに関してはプロセス技術の匠的なものがいっぱいあるので、そのうちおいおい説明が出てくるでしょう。次はちょっと洗浄の話でもしようかな。続く。
posted by ピッコロ大魔王 at 17:29| Comment(7) | TrackBack(0) | Etching | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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