2004年07月21日

PNダイオードのIVカーブ

前回導出したPNダイオードの電流電圧特性の式をグラフにしてみると以下の図のようになる。

PN-IVCurve

普通業界ではこういうのをIV特性とかIVカーブ(Curve)などと言っている。

それでは、このグラフをもとにIV特性を見ていこう。

まずは順バイアスから。IV特性のVを大きくしていくと指数項がむちゃくちゃでかくなるので、この式の1のところは無視できる。そうすると電流密度Jは指数関数的にでかくなり、急激に電流がドバーっと流れるようになる。これが順方向バイアスの特性だ。

まあ、とにかく電流がどばどば流れるようになる。その様子がグラフからも分かる。このとき図中のVthっていうのがダイオードの立ち上がり電圧などと呼ばれるもので、この電圧になるともう電流がじゃばじゃばであり、それ以上電圧をかけてもじゃばじゃば度は変わらない。で、このVth、拡散電位Vdにほぼ等しくて材料によって決まっている。Siの場合0.6Vぐらいだったと思う。

これは考えてみれば当たり前で、エネルギーギャップであるVdがなくなるぐらいであればバンドがまっ平らになっていくらでもキャリアが移動できる。拡散電位のところで説明したバンドギャップの図を見てもらえれば分かるだろう。

次は逆バイアスについて考えてみる。もともとこのIV特性の式を出すときに使ったキャリア濃度の式は障壁乗越えのところで説明した式を見れば分かるが、Vd-Vfwという項から出発してVfwがでてきている。従って、逆バイアスの場合には当然障壁がVr(Reverse)だけ余計に高くなるのだからVd+Vrといったぐあいにならなければならない。

そしてこれをIV特性の式に当てはめていけば、逆バイアスの場合Vのところに入る数字はマイナスになる。するとこの式の指数項は小さくなって、後ろの−1の項が無視できなくなる。逆に指数項が無視できるわけだ。すると電流は−Joになってほぼ一定になる。これがグラフのマイナス電圧側に示される曲線である。この電流密度のことを逆バイアス飽和電流密度などと呼んでいてJs(SaturationのS)などと表す。

この飽和電流はどういうことかというと、逆バイアスをかけてギャップがでかくなれば、多数キャリアは障壁を乗越えて移動できなくなるから、プラスの電流は流れないが、空乏層端にあるそれぞれの少数キャリアはギャップをころころと転がって移動することができるというわけだ。ま、要するに空乏層端にある少数キャリアの拡散電流ってことになる。

最後に降伏電圧について。グラフのマイナス側の電圧を大きくしたところで、いきなり逆方向電流がドバーっと流れ始めているところがある。これがPNジャンクション(接合)の降伏現象で、そのときの電圧を降伏電圧VB(Breakdown Voltage)と呼んでいる。よく耐圧、耐圧というがこれがそれである。実はこの降伏を利用したのが以前出てきたツェナーダイオードである。

このツェナーダイオード、グラフを見ても分かるようにまっすぐ下に伸びていて、電流の変化に対して電圧の変化が無視できるほどに小さい。だからこの素子は基準電圧を発生させるデバイスとして使われたりするわけだ。ツェナーダイオードのことを定電圧ダイオードというのはこういうわけなのだ。

はい、これでPNダイオードの話はおしまい。本当はPN接合の空乏層容量なんて話も重要なのだが、そこまでやると本当に教科書になってしまうのでやめ。そろそろ次の段階でMOSトランジスタの話に移る。次回はやっぱりMOSキャパシタかな?
posted by ピッコロ大魔王 at 10:29| Comment(4) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
翻訳上の調べ物をしておりまして
偶然このページを見つけました。
辞書にも記載がなかったので、とても参考になりました。
半導体関連の翻訳が多いのでまた参考にさせていただきます。
当方全くの文系人間ですので、こういう分かりやすい
説明は非常にありがたいです。

ではでは、足跡まで。
Posted by タコスケ at 2004年09月21日 09:04
タコスケ様

コメントありがとうございます。

お役に立てて光栄です。更新のスピードはかなり鈍っておりますが、今後もよろしくお願いします。
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年09月21日 18:07
半導体の試験前日でして
たまたまこのページ見つけました!
…マジ神っすね!

わかりやすい説明で本当に助かりました!!
これからも頑張ってください
Posted by dh at 2007年11月14日 02:58
今高専で半導体勉強してるんですけど
授業にまったく頭が追いついてくれない・・・

そんなときにこの神サイトにでくわしました!
細かい解説にマジ感謝です!
Posted by れをん at 2010年09月01日 04:04
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