2004年07月15日

障壁乗越え

前回の話でPN接合を作ると空乏層のところのエネルギー障壁は電位差にするとVdになることが分かった。

実はPNダイオードの整流特性っていうのはもともとはこの拡散電位が生じるってことに端を発している。PNダイオードの場合、外部から電圧をかけると、拡散電位が生じている空乏層端にほぼすべてのバイアスがかかるということが重要だ。

無バイアスの状態から、n型半導体側だったらマイナス、p型半導体側だったらプラスに電圧Vfwをかけるとする。すると空乏層部分のエネルギー障壁は拡散電位のところで説明した図と式から分かるように、qVfwだけ低くなってq(Vd-Vfw)になる。

バンド図の縦軸はエネルギーでそれも電子のエネルギーを基準にしているから、n型側にマイナスをかければ電子にとって励起される側になるからn側のバンド全体が上に上がる。だから障壁が小さくなる。

p側にプラスをかけるってことは、電子にとっては励起の反対だからバンド全体が下に下がることになる。だから障壁が小さくなる。と、こんなふうに考えると分かりやすい。

前にも出てきたと思うが、こういうのを順バイアス(Forward Bias)っていうわけだ。VfwってのはこのForWardのFWからつけた名前だ。この順バイアスの場合、障壁が低くなるのでn型半導体の多数キャリアである電子がp型半導体側に流れ込み、p型半導体の多数キャリアであるHoleはその逆に流れ込むということになる。

では、順バイアスでどのくらいのキャリアが流れ込むことができるのか考えてみよう。以下の式で説明する。

障壁乗越

まず、n型半導体中で何にもバイアスをかけない状態で拡散電位による障壁qVdを乗越えることができる電子濃度ってのは、何にもしないでもqVd以上のエネルギーを持つ電子だから、当たり前のように障壁を乗越える。っていうことは乗越えた側がp型半導体なので、p型半導体の電子濃度とn型半導体のqVd以上のエネルギーを持つ電子濃度は等しいってことになる。

これが2番目の式なのだが、そういう意味がある。でも意味を考えなくても式の遊びからこの2番目の式が出てくる。

一番上の式は拡散電位のところの最後に出てきた式の左側だけを取り出してきたものだが、これをp型側の電子濃度についてといてあげれば2番目の式になる。

で、順バイアスVfwをかけると電位差がVd-Vfwになるから、こいつを2番目の式のVdの代わりに使うとこのときの障壁を越える電子濃度になる。これが次の式だ。このときの左辺のnについているjはjumpからとった。

で、ここからがおもしろいのだが、図の2番目の式を矢印のようにn型側の電子についてといてあげて、これをこれまた矢印のように3番目の式に代入してあげる。するとあらまあ不思議、ジャンプできてしまった電子であるp型側の電子濃度は、もともとの無バイアス状態のp側の電子濃度とVfwで表されてしまう。n型側からp型側にジャンプする電子濃度を計算するのにn型側の電子濃度を考えなくて良いのだ。

同じように考えてくると、Holeについても同様の式が得られて、一番下の式のようになる。

よく見るとこれってどっちも少数キャリアのことだってのがわかる。こういう障壁を越えてキャリアが移動するのが今までに出てきたキャリアの注入ってことになる。

今回はここまで。次回は注入したあとのキャリアの進む距離。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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