2004年07月12日

発生と再結合

前回までドリフト電流と拡散電流の話をしてきたが、そこでも少し触れた電子の発生と再結合の話をしていく。

この発生と再結合は電流の大きな要素ではないが、バイポーラトランジスタなどで少数キャリアが注入された場合などの挙動を理解するために重要なベースとなる。

直接遷移と間接遷移のところで少し説明したが、半導体では普段の状態の熱平衡状態でも電子は励起されて価電子帯から伝導体に移ったり、その後エネルギーを光などで放出しながら価電子帯に戻るなんて事が繰り返されている。こういうのをそれぞれ発生と再結合という。伝導体に移るほうが発生、戻るほうが再結合でその様子が以下の図で分かる。

発生再結合

図中の左上にあるのが発生再結合の様子である。この場合はダイレクトに伝導体と価電子帯でやり取りがあり直接再結合という。これに対して、途中でバケツリレーのように受け渡し場所の準位(エネルギー準位)があるような場合が右上図である。

こういうのを間接再結合という。この間接再結合は図のように再結合中心というところで再結合が行われることになる。この場合はn型半導体で再結合中心の準位Erがドナー準位Ed、フェルミレベルEfより下に位置している。

ちなみに電子とHoleの再結合は直接再結合よりも間接再結合で起こる場合のほうが多い。そしてここにでてくる一時避難的な準位っていうのは金属などの不純物があったりするとできるものである。逆に言うとウェハーに金属汚染などが起こると、この準位ってのがいっぱいできて電子のトラップ(一時避難的に)などが起こりリーク電流やVthの変化などを起こしまずいことになる。

これが、ウェハーの重金属汚染などがだめだよといわれる大きな理由の一つである。こういう準位のことを捕獲中心とかいう。上にも書いたがよくトラップという言葉を使うが電子がこの準位に捕らえられてしまうからトラップなのである。

なんとか中心ってのは他には発生中心なんてのもあるけど、これはまあいいでしょう。

さてさていよいよ本題、発生再結合による電子(キャリア)の流れはどうなるかっていうと、その濃度の時間変化を見ればよい。一般的に発生のほうの量をG、再結合のほうの量をRと表すのだが、この差が電子の量の変化だから図中の真ん中の式のようになる。実際にGは温度の関数でRは電子とHoleの濃度に比例するっていう具体的な式もあるのだが、それは教科書にお任せ。

そして、例えば電子の挙動を見るためにp型半導体に電子をたくさん注入した場合を考える。こういうのを過剰注入という。これがその下の式で表されるのだが、本来少数キャリアである電子の過剰注入ぶんのデルタnの時間変化は、上の式と同じで過剰注入による発生とその後の再結合の差になるわけだ。

で、この場合少数キャリアである電子がたくさん入ってきたわけだから、再結合のためのHoleはp型半導体ということでたっぷりある。そうするとこの時間変化は入ってきた過剰キャリアの濃度デルタnに比例する。こいつをといてあげて、比例定数Tの逆数をタウにしてあげるとその下の式になる。

この式を見ると分かるように、少数キャリアを過剰注入すると、キャリアは再結合により時間とともに指数関数的に減少することが分かる。この式をグラフに書いてみるとよくわかる。これが大事で、少数キャリアを注入するとあっという間に再結合で熱平衡状態に戻るってことだ。だからこのときだけ電流が流れることになる。こんなふうにして発生と再結合による電流が説明できる。

とまあこんな感じで今回はおわり。次ももうちょっと再結合関係。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
へー
Posted by だいじん at 2007年05月23日 15:55
たすかりました^^
Posted by ぱんだ at 2008年11月21日 22:49
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