2004年06月21日

伝導帯

前回の続きで、エネルギーバンドができたところから。

普通半導体物理のエネルギーバンドの図では枝分かれしたあとのバンドになった状態のみを表示している。

以下の図のようである。

伝導帯

で、これまた一般的には一番上のバンドと2番目のバンドしか表示しない。図中の右側の様にだ。通常一番上のバンドは、電子が全部充填していなくて、そのためここにある電子はキャリアとして自由に動けるようになる。この領域を伝導帯(Conduction Band)と呼びここにある電子を伝導電子なんて呼んだりもする。みんなが良く知っている最外殻電子がこれに相当する。

2番目のバンドは普通電子が充填されていて、ここにある電子はキャリアとしての働きをしない。このバンドのことを価電子帯(Valence Band)と呼ぶ。荷電子帯なんて書いてある場合もあるけど、価電子帯が正しいんじゃないかな。

伝導体と価電子帯の間の電子が存在できない領域のことを、禁制帯などと呼ぶ。こいつは、もともと電子は飛び飛びのエネルギーしかもてないという法則から生じるものだ。

さて、これをもうちょっと詳しく説明しよう。
電子は上の価電子帯のように低いエネルギーのバンドから順番につまっていくという性質があるのだが、このとき電子が絶対零度で存在することができる最大エネルギーをフェルミエネルギーと言う。通常はEfなどという記号で表す。また、エネルギーレベルのという言葉からフェルミレベルと呼ぶ場合もある。

さてさて、これが実際どういうことになるのかを説明しよう。以下の図を見てもらおう。

金属半導体絶縁体

まず1番左の図、これは金属の場合である。金属の場合Efが伝導体の中にある。これは何を意味するかというと、絶対零度でも伝導体のEf以下の網掛けの部分に伝導電子が存在できるということであり、そのため自由に移動できる電子がたくさん存在することになる。だから金属は電気伝導度が高いのだ。

そして真ん中の図、半導体の場合である。これはEfが禁制帯の中にあるので、禁制帯には電子は存在できないから、価電子帯までしか電子が存在できない。ということは絶対零度では伝導体には電子が存在できず導電性は示さない(外部から電気、光などのエネルギーを与えれば別だが)。しかしながら、半導体の場合常温では熱エネルギーを得て、伝導体に励起される電子が存在する。半導体の図の右側である。

この場合、温度としての熱エネルギーにより、価電子帯の一番上のエネルギーの高さから、伝導体の一番下のエネルギーの高さにジャンプできるだけのエネルギーが得られれば良いわけだ。この高さの差のことをバンドギャップとかエネルギーギャップなどと呼んでいる。業界ではバンドギャップとかバンドギャップエネルギーと言うことが多い。

しかしながら、図の一番右の絶縁体の場合には、絶対零度では当然伝導帯に電子は存在できないが、さらに常温の場合にもバンドギャップが大きすぎるので、熱エネルギーによって伝導帯に励起されることもない。だから、導電性がなく絶縁なのだ。とはいえ、トンネル現象なんてのもあるから全然電気が通らないってわけでもない。他にも、リーク電流のように電圧をかけたりすれば励起されて導電したりするからね。さらに、ものすげー電圧で導電ってなると、裏を返せば物理的にぶっ壊れるってことだから、半導体プロセスではとても困る。そのうちこの辺の話もでるだろう。

というわけで、半導体と絶縁体の違いはバンドギャップの大きさの違いとも言える。

今回はとりあえずここまでで、次は不純物半導体のEfによる理解とか、直接遷移、間接遷移のEfによる説明かな。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
神様、大変わかりやすい説明をありがとうございます。ものすごくスンナリと頭に入ってきました。どうして市販の教科書はあんなにわかりにくいのでしょうか?私の頭が悪いだけなのでしょうが…。
Posted by デンデ at 2010年09月16日 19:26
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