2004年06月14日

Passivation

さて、いよいよ最後のPassivation保護膜の形成といこう。

通常、チップの上には絶縁膜で保護膜をつける。これは、この後の組立工程でパッケージし黒い樹脂で覆ってしまうのだが、むき出しのままだと、ストレスがトランジスタに直接加わってしまったり、可動イオンが進入しやすくなったりと、いろいろ不都合な点が多いからだ。

保護膜としては、PSGを使ったり、ナイトライド膜を使ったりが多い。最終保護膜としてはナイトライド膜を使うことが多いんじゃないだろうか。

以下の図を見てもらおう。

PSG

まずは前回の続きから、PSGを乗せたものがステップ1。このPSGは通常APCVDでつける。層間絶縁膜LOCOSのところで出てきたものだ。プロセス条件としてはBPSGとほぼ同じで、温度は400℃前後、ガスはSiH4(シラン)、O2、PH3(フォスフィン)だ。

その後、ナイトライド膜を乗せる。これはPECVDでつける。LOCOSのところで少し触れたが、ここで始めて登場する。プロセス条件は、300℃前後の低温、ガスはSiH4とNH3である。装置としては、プラズマのエネルギーを利用して反応させるため、チャンバーも必要で、機構、形はDry Etchの装置にそっくりである。

そもそもなんでここでPECVDを使用するか分かるだろうか?

ナイトライド膜というのは、酸化膜(PSG、BPSGなど)に比べると、結構作りにくい。要するにより多くのエネルギーを外部から与えてあげないといけないわけだ。エネルギーとしてまず考えられるのは熱である。APCVDの場合も温度を400℃前後に上げてプロセスするのは熱エネルギーを利用するためだ。でも、ナイトライド膜の場合は、よりエネルギーが必要なので、もっと高温にしなければならない。LOCOS用のナイトライド膜をつける時に使ったLPCVDが良い例だ。この場合、温度は650〜800℃になる。

でも、これではまずい。なぜならAlの融点が759℃(確か?)なので、そんな高温で処理したらせっかく配線したAlが溶けちゃう。半導体の世界というかウェハープロセスの世界では、Al配線以降のプロセスは高温熱処理は御法度である、というのは重要なポイントだが、こういう理由からだ。

そこで、なんとかナイトライド膜を成長させるに十分な反応エネルギーを得るために、と考えだされたのがPECVDだ。プラズマのエネルギーを利用して、ガスを反応させナイトライド膜を堆積させるのだ(Plasma Enahncedの名前のとおり)。当然温度は低くてすむので好都合だ。このPECVD、Dry Etchの装置とほぼ同じ機構と上で述べたが、LPCVDなんかよりもはるかに高真空である。こんな経緯があるので、昔はPassivation膜といえば、PSGだけだったんじゃないだろうか。

Passivation膜としてよくある不良は、クラック(Crack)かな。これは要するに、ひび割れのことだ。せっかく膜をつけたのに、Al配線がField酸化膜上に乗ったりした場所では段差が厳しく、そこにストレスが集中してしまい、クラックが生じる。こうなると、信頼性上非常に問題である。だから、成膜条件、回路のレイアウト設計などで回避する必要がある。

少し長くなったので、今回はここまで。次回はPadのPhoto工程から。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Film | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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