2004年06月04日

層間絶縁膜

今回からウェハー工程の後工程に入る。普通半導体製造ではウェハー工程を前工程(Front End)と呼び、組立、検査工程を後工程(Back End)などと呼ぶが、ウェハー工程の中でも特にS/D形成後のプロセスはウェハーの後工程というイメージがある。

S/D形成後でも表面にはうっすらと酸化膜があるので、このままAlなどの配線をしても良いような感じもするが、ちょっとまずい。それは、ある程度の厚さの層間絶縁膜がないと、以前少し触れたような配線と基板間や配線とゲート電極間に大きな寄生容量ができてしまったりするからだ。要するに、間の絶縁膜が薄いと容量のでかいキャパシタンス(コンデンサ)ができてしまう。他にもまずい理由はあるが、面倒なのでここでは述べない。今後のプロセスでそのほかの理由もおのずから分かってくるだろうし、そのぐらいは頭を使うのもよいだろう。

ちなみに、層間絶縁膜というのは、配線(AlやCuなど)と基板間、多層配線の配線と配線間の絶縁膜のことをいう。

以下の図を見てもらおう。

BPSG

ステップ1が前回のS/D形成後の状態。そこから、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)という絶縁膜を乗せたのがステップ2。

このBPSGというのは一般に最初の層間絶縁膜によく使われる膜で、名前のとおりB(ボロン)とP(リン)が入っているSiO2膜である。これは前にLOCOSのところで触れた、APCVD(常圧CVD)で作る。装置的には、大きなガタイがあり鉄板焼きのようなプレート(トレイなどともいう)に数枚のウェハーを1枚1枚上向きに乗せて、上から反応ガスを流し、雪のように膜を堆積させるようになっている。その時プレートはベルトコンベアーのように動いていて、このスピードを調節して、装置を通り抜ける時間を設定し、反応ガスの条件設定とあわせて膜厚膜質を管理する(でも最近の装置はこういう装置じゃないのも多いかも、チャンバー型とかね)。この装置、雪を降り積もるようにさせるだけあって、パウダーが激しく、CVDのメインテナンス担当者の最大の仕事は、パーティクル除去のためのプレートや装置の掃除だ。

このときの温度はだいたい350℃〜450℃でプレートも暖めて行う。上から流すガスはSiH4(シラン)、O2、PH3(フォスフィン)、B2H6(ジボラン)である。このガスの混合比はいろいろプロセス条件によって変わるが、基本はSiO2なのでSiH4とO2がメインなのは言うまでもない。

B(ボロン)が最も少ないはずだ。実はボロンガラスっていうのはものすごい吸湿性があるので、処理が難しいのだ。1日置いたらもう表面はベトベトってな感じで、半導体には大敵の水分が残ってしまう。だから、ある程度すぐに次のステップに移らないといけない。昔学生のころ、全く専門は違うが、実験で坩堝に粉末から入れて炉で温めてSiO2ガラスをつくっていたことがある。何種類も作ったがその中でボロンの粉末を入れて作ったガラスはベトベトになってびっくりしたことがある。

次はステップ3に移るわけだが、この工程のことをリフローと呼ぶ。これ、実は平坦化のための重要な方法の一つだ。今までのゲート電極やField酸化膜などの厚さにより、ウェハーが表面が凸凹になっているため、単純にCVD膜をつけただけだとさらに凸凹が強調されてしまうのだ。そうすると後の工程で凸凹により配線が切れたり、膜が凸凹のてっぺんをカバーできなくなったりという問題が生じる。図の2でその様子が少しは分かってもらえると思う。

それを避けるために、リフローを行う。このリフロー、BPSGの場合温度が800℃ぐらいでトローっと溶けて平らになってくる。ちなみにB(ボロン)なしのPSG(Phosphorus Silicon Glass)でもリフローはできるがより平坦化の効果があるのがBPSGで、これが開発された後ではBPSGが一般的だ。PSGの場合は1000℃ぐらいの高温にしないとだめなのもネックだ。そうだ、このBPSGの800℃がある場合、Pch S/DのAnealはしなくていいかもしれない。リフローはPoly SiのPOCl3のドーピングで使ったのと同じ拡散炉か、同じ型の拡散炉を使う。Bの吸湿性が高いとはいえ、当然拡散前処理も行う(熱加えれば水分も飛ぶしね)。

実は平坦化の方法としては、他にもSOG、エッチバック、CMPなどというのがあり、どの平坦化方法を使うかは製品やプロセスルールなどにより各社、各工場でまちまちだろう。

とりあえず最初の層間絶縁膜はこれで終わりでステップ3終了。
次回は上に述べたほかの平坦化の方法について少し説明する。
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posted by ピッコロ大魔王 at 10:04| Comment(2) | TrackBack(0) | Film | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
半導体製造工場でCVDの担当をしています。
私は製造の部署なのですが、質問があります。
LP-CVDでプロセス温度を700〜800℃にした場合、
ウエハークーリングに要する時間は
最短で何分ぐらいなのでしょうか?
Posted by おじゃま at 2005年04月08日 01:10
工場で働いていらっしゃるのであれば、ストップウォッチと温度計もって測ってみるのが一番でしょう。。
出炉時温度と出炉スピード、ダウンフローの流速、セットしたウェハー枚数、環境の室温等々、これらの要因でぜんぜん違ってくるでしょう。。
作業効率向上で冷却時間の見直しをされるため、このような質問をされていると思いますが、現場現物一番!作業者の方が装置のことを一番知っていると思います。自分が触って安全だと思う温度になるまでの時間が、その装置の冷却時間です。それと、搬送用に樹脂キャリアを使用されているのであれば、樹脂の耐熱温度なんかも冷却時間を決定する因子になりますよ。。これは、貴社の担当技術に聴いてもらえれば、即答してくれるでしょう^^
Posted by BPN at 2005年04月09日 16:01
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