2004年05月27日

Poly Si

さてさて、前回の続きでPoly Siをつけるところからである。この処理は、ゲート酸化が終わったらDirectでおこなう。前も述べたが、炉に入れるプロセスで、しかも別の炉に移し変える必要がある場合、その間に洗浄工程を入れないでそのまま移すのをダイレクト処理なんていったりする。

そんなわけで、Direct処理の臨場感を出すために前置きなしで始めてしまった。以下の図を見てもらおう。

ポリSi

この図のステップ2に移るところが、Direct処理になるわけだ。ゲート酸化が終わったら、温度が下がるのを待って、LPCVD炉に入れる。Nitride膜のときに説明したLPCVDのPoly Siバージョンだ。

だいたいゲート電極用のPoly Si膜は3000〜5000オングストロームが一般的なんじゃないだろうか。最近はもっと薄い膜も使っているのかなあ?このPoly Si、多結晶Siの名のとおりSiの結晶がいっぱいつまっている。基板の単結晶シリコンに対して多結晶シリコンなのだ。このときの結晶の大きさなどがLPCVDの条件を決める大きな要素になっている。これをGrain Size(グレインサイズ)などと呼ぶわけだが、これがあまりにでかいと、Grain Boundary(グレインの境界)などでひびが入ったりと、いろいろまずいことが起こったりする。

Poly Si膜をつけたら、次はPoly SiをN型にするためにP(リン)をドープするプロセスをおこなう。このときのN型はどっぷり浸かったN+型にする。そのためにこれも拡散炉に入れてPOCl3を流してP(リン)をウェハー表面にデポ(Deposition)する。このときは、ちゃんと前処理洗浄をする。ここまでで、ステップ3が出来上がり。

ところで、このPOCL3炉、むちゃくちゃパウダーが出やすくて、かつ、何度も使用していると石英チューブの端のほうや排気のところなどがべとべとになってくる。だから、こまめに掃除することがとても重要になってくる。ウェハー工場ではこのポックル(POCL3)炉は、他の拡散炉からわざわざ離して設置する場合が多い。隔離してなるべくここから出るパーティクルの影響を他の酸化、拡散炉に与えないようにするためだ。このような例からも、ウェハー工場ではパーティクルに非常に気を使っていることが分かるだろう。

Poly SiをN+にする理由は、金属配線とコンタクト(電気的接触)をとるために必要なのだが、他にもSi基板の表面のエネルギーバンドを曲げるためという理由もある。N+の場合はNchトランジスタをメインに考えている(P+だってコンタクトはとれるから、そのときはBBr3などでボロンをどっぷりと入れればいいわけだから)。このエネルギーバンドの件は、もっと後でデバイス物理の話をするときに詳しく説明するだろう。

今回はここまで。次回はN+をちゃんと拡散させるプロセスから。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:36| Comment(10) | TrackBack(0) | 酸化拡散 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Dポリの拡散や活性化でドープしたリンが外方拡散しまして,ガス状のリンは装置の冷たい部分に付着します。
そのため,定期的にクリーニングしなければなりませんが,クリーニング方法やクリーニングの周期がどの程度であったか,すみません教えていただけますか?
また,クリーニングの周期を伸ばすためのノウハウもありましたらお願いします。
Posted by ほりちゃん at 2004年09月13日 16:33
初めまして。細々と口に糊する程度の零細半導体生産工場で装置メンテを行っているバロンという者です。
さて、Poly-Si炉といえば正に小生が困難の真っ只中に
置かれている工程です。
実は…ゲートPolyの段階でゴミやウェハ表面のクモリ発生などで悩まされております。
ゴミの実態はPoly-Si自体の結晶と思われ、顕微鏡で観察すると、まるで人工物の様な形状をしているものもあります。殆どがワイヤ状になっていて、直径が20μm
程で長さはまちまちですが、50μm以上のものは無いと思います。時に観察されるものは、このワイヤがクルクルと均等にループを描くものや、卵を並べた様なものなど、『微細芸術』と言える様なものまでありました。
これらはプロセスにとってパーティクルでありゴミですので、何とか払拭を試みておりますが、構造実態も解らなければ、どこから舞い降りるのか、或いはウェハ上で成長するものなのか、システム的なことはまるで不明です。分析してみると確かにSiなのですが…
CVD側は縦型炉で、ボートは石英製。定期的に洗浄交換を行っております。石英はPolyに使用すると
ひび割れ、つまりはクラックの様な模様が付きます。
これと何か関係があるのかと思い、石英治具を頻繁に交換したり、ガスラインの確認や、レシピの洗い直し、ガス流量なども見直しを行ってきましたが、是正されていません。
生産は、そのパーティクルが少ない部分に限って製品を投入して行っていますので、実質処理量が限定された状態なので全体的に工数バランスが崩れています。処理炉は『零細』ですのでこの一台しかありません。(比較対照が無い)
クモリの方はと言いますと、縦型ボートの下部に多く発生しています。ボート上部はパーティクルが多いので使用禁止としているのに、下部はクモリで使用禁止。…要は全面使用禁止状態です。
クモリの実態はリークチェックを行うなどしましたが、こちらも今一歩原因が掴めません。
なんとも半導体屋としては情けない質問になりますが、突破口の光の元になるようなアドバイスを欲しています。宜しくお願い致します。
Posted by バロン at 2004年09月13日 16:37
ほりちゃん様

リンの装置のクリーニングはPoly Siなども含めてエッチングできるように硝酸系の洗浄バスにジャボ漬けするんじゃなかったかなと思います。

洗浄サイクルに関しては、例えば何バッチ処理したらとか24時間以内などの時間との組み合わせで、どちらか先に期限になったほうで、メンテナンスに入るってのが普通でしょう。でも、その期間に関してはそれぞれの工場で処理条件が違うので、一概には言えないでしょう。

でも、一つの炉を休みなくぐるぐる回転させていたら、2,3日に一回はクリーニングしないといけないような気がします。クリーニングサイクルを伸ばすためのコツは、とにかく排気のコントロールが重要でガス流量と排気の微妙なバランスのよいところを探すしかないですね。
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年09月14日 09:29
バロン様

参考になるか分かりませんが、まずパーティクルのようなものに関して。

これは単純にPoly Siをつけるプロセスで出来ているものなのでしょうか?どういうプロセスステップでPoly Siに入ってくるのか分からないのでなんともいえませんが、前のプロセスでエッチングなどをしていて、そのエッチング化合物がパターンの側壁などについていると、熱処理の段階ではがれてきてクルクルクルとワイヤ状の物が出来たりします。その場合成分を調べても当然Poly SiのSiしかでてきません。

少ない情報で思いつくのはこの程度ですね。でも、とにかくPoly Siの工程そのものというよりは、それよりも前の工程でもともとの根本的原因が起こっているような気がします。

くもりに関しては、縦型炉の下部だということはリークではないような気がするんですが。確か縦型炉ってガスを下から入れて上から排気するんじゃなかったでしたっけ?よく覚えていませんが。

でも、くもりっていうと普通リークが原因だったような気もするのでよくわからないですね。リークチェックはHeなどを使ってするのでしょうか?忘れてしまいましたが、昔リークチェックをしたけど引っかからなかったといったときに、どれでリークチェックをやったかが問題だったこともありました。

拡散炉といえばガスと温度でほぼ決まりますし、LPだとそれに圧力が入ってくるぐらいで、それをちゃんとチェックするしかないような気がしますね。良くありがちなのは、例えば温度が正しいといっていたら、熱電対のほうがおかしかったなんていう、測定系の問題ですね。

いずれにしても、拡散のプロではないピッコロとしては少ない情報ではこの程度の返事しか出来ません。悪しからず。でも、プロじゃないから情報が多かったとしても、変わらないか。
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年09月14日 09:45
ピッコロ大魔王様

アドバイスありがとうございました。
貴殿は現在,半導体分野から離れておられるのですか?
もしそうだとしたらそのキャリアはもったいない気がします。
ではまた宜しくお願いします。

byほりちゃん
Posted by ほりちゃん at 2004年09月14日 10:53
ピッコロ大魔王様へ
貴重なコメントありがとうございました。
まずは、Poly-Siについての反応ガスは100%モノシランのみで、そのワイヤ状の異物が発見された後は、ダミーウェハ(ベア)で何度も確認しましたが、やはり発生します。ベアウェハ上にも発生する…よって処理前の工程とか関係ないみたいです。それに、Poly-Si成膜の内部にも上部にも生成されている様です。明らかにファーナス内部で生成されている物質です。が、正体分かっていても防ぐ術が…もう何が何だか分からない状態です。
装置ハードについては、排気設備からガスシステム、温度制御や真空制御(ゲージなど)調べ尽くした感があります。どこか抜けている部分があるんでしょうね。
リークチェックはマシンのレシピ内に昇圧を見て判断するステップがありますが、それ以外にもおっしゃっている『Heリークディテクター』で確認しました。結果は、リーク無しでした。
社内にもプロセス開発部署があり、博士も居りますので、今まで起きた問題は解決まで然程の時間は掛けた経験ありません。が、今回の問題発生について因の特定に至らないのは…それだけ特異な問題だと思います。
クモリは石英部品(チューブとボート)を交換することで解消致しました。これは石英表面の汚染(?)が原因だった様です。(DEGAS)
あとは最後におっしゃっておられた、各パラメータの再確認をしてみます。特に『熱電対…』の部分を読んだときに、ちょっと『ハッ!』としました。
また相談させてください。お願いします。
では。  
バロン


Posted by バロン at 2004年09月14日 13:18
Grain Sizeについてお伺いします。メタルもそうなんですがグレインサイズによってフォトリソ工程でアライメントキーのノイズがひどくうまくアライメントできないことがあります。拡散工程の知見からこのグレインサイズは調整できるのでしょうか?(条件の最適化?)フォトリソ工程側からしてみれば是非きれいな
アライメントキーが望ましいです。
Posted by ogo at 2004年09月29日 19:55
ogo様

答えはYesです。

まず、フォトリソのアライメントキーで一番困るのはメタルのぼこぼこでしょう。これはグレインサイズとHillockが大きな原因ですが、スパッターなどのプロセス条件でかなり改善されます。それがプロセスエンジニアの腕の見せ所です。一番大きいのは真空度の影響でしょうね。

Poly Siなどもグレインサイズが大きすぎて表面が汚く見えることがありますが、これもLPCVDのプロセス条件で確実に調整できます。

ステッパーのアライメントに関してはノイズが乗ってしまってアライメントの波形がうまく出なければほぼお手上げですから、この手の話は重要ですね。技と言えばピークを読む位置を変えたプログラムを用意して、ある製品のプロセスの場合だけ、そのピーク読み込み改良プログラムを使うぐらいのことしか出来ませんね。
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年10月01日 09:05
アルミのグレインは、真空度の影響でどのように変わるのでしょうか??
Posted by ウータン at 2005年05月02日 16:06
バロン様

Poly炉の『微細芸術』ですが、ウェハ上に乗っかった汚染物質(重金属)などが原因ではないでしょうか?いつウェハに乗るかは多分ボートに乗って炉に入るまでの間かもしれません。半年以上前の書き込みなので既に解決されているかもしれませんが・・・

ピッコロ大魔王様
講座判りやすく書かれているので
とても参考になります。
Posted by マー坊 at 2005年05月27日 23:34
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