2004年05月26日

ゲート酸化

今回はいよいよゲート酸化である。酸化膜の作成としては半導体プロセスの中で最も重要なプロセスであるといってもよい。

昔は、このゲート酸化膜の膜質がなかなかよくならなくて、バイポーラトランジスタからMOSトランジスタに量産的に移行する時間がかかったという話があるくらいである。とにかく、この膜質がよくないと、ゲートとSub、ゲートとS/D間の耐圧が悪くトランジスタとして機能しなくなってしまう。要するに、絶縁膜が破壊されてしまい、ツーツーに電流が流れるようになってしまうのだ。こういうのを絶縁破壊といったりする。

さて、プロセスステップであるが、前回の続きからである。以下の図を見てもらおう。

ゲート酸化

まず、前回の終わりで、Nitride膜を取った状態がステップ1である。このままデート酸化をつけてもだめである。もともとNitride膜の下に引いた酸化膜がまだ残っているからである。前に触れるのを忘れたような気もするが、このNitride膜の下の酸化膜はField酸化のときのNitride膜の形状変化によるSi基板上への応力緩和の役目を果たしている。要するにバッファーである。それとフィールドインプラの保護膜の役目ね。

そんなわけで、当然下地の酸化膜はいろいろ影響を受けていて、膜質も劣化しているし、そのためにもともとゲート酸化膜として使用するような条件で酸化もしていない。

で、とりあえずこの酸化膜をEtchingしてしまう。NH4HFの溶液で酸化膜エッチをするわけだ。例えば500オングストロームぐらいの膜がついていたとすると、10オングストローム/secのEtching Rateの液を使えば、だいたい1分エッチングする。すると計算上は600オングストローム削れることになるので、20%のオーバーエッチをかけていることになる。

この場合あんまり速いEtching Rateの液を使うと、ちょっと時間が狂ったりするだけで必要以上の膜が削れてしまうので、気をつけなければいけないし、普通はある程度遅いRateの液を使う。なになに?500オングストロームの酸化膜を削ったらその下はSi基板だから自然にEtchingがストップするじゃん、って?

うーん、それはそうなんだが、この場合はAcitve AreaよりもField酸化膜が必要以上に食われてしまうのを気をつけなければいけないのだ。そうしないとFieldトランジスタのゲート酸化膜に相当する厚さが目減りして、Fieldトランジスタの|Vth|が下がり、寄生トランジスタがONしやすくなるからね。

こんな理由で、まずActive AreaのSi基板上をまっさらにする。これでステップ2。

そして最後にいよいよゲート酸化膜をつける。EEPROMなどのトンネル現象を利用するトランジスタなどは100オングストロームなんて厚さのものもあるけど、一般的にはもう少し厚い。今の最先端のプロセスルールでは薄いのもあるかもしれないが、だいたい300〜1000オングストロームぐらいじゃないのかなあ。ここでは適当に500ぐらいを想定しよう。

このゲート酸化の前には当然のことながら、前処理として洗浄工程を行う。そして、このゲート酸化では一般的にHCl酸化なるものを使う。これはドライ酸化とほぼ同じでO2にわずかのHClを混ぜておこなう酸化である。こうすると界面がH(水素原子)で終端して、界面の電気的特性が安定する。まあ、ゲート酸化膜の膜質が安定すると思えばよい。さらにこのときのClはウェハー中の金属と反応して除去してくれるという、ゲッタリング効果もあるといわれている。ゲッタリングに関してはまた今度説明。

ゲート酸化の温度はそんなに高くなく、900℃ぐらいだったっけなあ。普通酸化の温度は高いところで1000℃とかであるから、100℃違うとすごい違うのだ。拡散方程式などでもそうだけど、反応速度は温度に対しては指数関数的に増えるからね。ということは低い温度でつけるってことは、ゆっくりと慎重につけるってことになる。

今回はここまでで、次はPoly Siをつけるところから。それにしても、最近プロセスが進んできたら、絵を描くのが複雑でめんどくさくなってきた。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:35| Comment(6) | TrackBack(0) | 酸化拡散 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
HCL酸化においてHCL濃度(酸素に対する比率)を上げると、より膜質が良くなり、金属のゲッタリングが多くなり良いことづくめのように思うのですが、デメリットはないのでしょうか?
Posted by 佐々木孝裕 at 2004年11月11日 11:06
佐々木孝裕様

昔のことでよく覚えていませんが、ドライ酸化にも超ドライ酸化だか超超ドライ酸化なるものがあって、それは何かデメリットがあったはずです。何だったっけなー、忘れました。調べればでてくると思います。

ピッコロ
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年11月13日 21:34
早速のご回答ありがとうございました。ドライ酸化のデメリットもお聞かせ願いたいのですが、HCL濃度を上げると、酸化レート高、金属のゲッタリング、膜質の向上が得られるのに対し、H
なりCLが悪さをすることがないのかをお知りでしたら、お教え願えればと思います。(10%〜30%の高濃度で酸化しても問題ないと思われますか?)
Posted by 佐々木孝裕 at 2004年11月15日 10:44
佐々木様

すみません、あまり良く覚えていません。昔一時超ドライ酸化などというものの評価をどこかの論文で読んだような気がします。

確か、膜質はよくなるけど、酸化膜表面の界面準位か何かが増えたとかいってたような?

HCl濃度は通常程々だと思いますが、どの程度までがOKなのかはわかりません。拡散のエンジニアあたりは装置の立ち上げのときにその手の混合比率を大胆に変えてプロセスしたデータを取っていたと思います。そういうデータを基に判断するしかないでしょう。

ピッコロ
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年11月15日 16:22
HCL濃度は高すぎても効果はなくなります。それと、DRY酸化に対してはHCLを入れることで酸化Rate上昇しますが(O2+HClでH2Oができるため)、逆にWet酸化(燃焼酸化)の場合はWet雰囲気の分圧が逆に低下するため酸化Rateが落ちます。

あと、HCLを入れた場合は、配管を腐食してしまうので、それ以降のプロセスは必ずHClを入れないと、配管からのセルフコンタミネーションを除去することができません。

それと最近のCR環境は清浄度がかなり高いため、HCLを入れなくても大丈夫だと思います。

では。
Posted by mari at 2004年11月19日 21:23
mari様

現役のプロの方(ですよね?)の解答ありがとうございます。

HClを入れた後は、HCl入れ続けるっていうこと思い出しました。

ピッコロ
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年11月20日 10:05
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