2004年05月25日

フィールド酸化

前回の予告通り、今回はフィールド酸化から。
まず、以下の図を見てもらおう。

Field酸化

前回の最後のステップがこの図の1で、そこからField酸化を成長させる。当然のことながら、熱処理工程の前処理である洗浄工程も行う。SC-1、SC-2、希フッ酸の処理などである。その後、酸化炉にぶち込む。

このField酸化はこの前出てきた、Well拡散と双璧をなす最も処理時間の長いプロセスである。以前も述べたが、Field酸化膜の膜厚のターゲットが10000オングストロームを超えるようだと、10時間以上かかる。今ではこの酸化にDry酸化を使う場合もあるかもしれないが、昔はWet酸化で行っていた。なんせ時間が長いので、少しでも早く終わらせるにはWetでやるしかない。

最近の先端プロセスでは、5000オングストロームぐらいの厚さでよいかもしれないので、その場合はDry酸化でやっているのかもしれない。WetとDryじゃあ、酸化速度に3倍ぐらいの開きがあったんじゃなかったっけなあ?忘れてしまった。1.5倍だったけなあ。

さらに、普通酸化の熱処理シーケンスってのは単純に狙った温度にあげて、酸化ガスを流して、その後ターゲットの膜厚を得るための時間ホールドして、温度を下げるというような形にはなっていない。特にこのField酸化のような場合は、ちゃんとB(ボロン)を拡散させるアニールなんてシーケンスも入っていたりする。要するに酸化ガスを流さずに、N2ガスを流してある温度に一定時間保って、Bを拡散させるのだ。

横道ついでにいうと、熱処理で温度を上げるときと、下げるときのスピードが違う。熱処理勾配が違うのだ。昇温の時のほうがスピードが速くて、降温のときのほうが遅いんだっけなあ。これも忘れた。例を示すと、昇温の時には6℃/minぐらいであげるとすると、降温の時には4℃/minぐらいで下げるという感じだ。この上げ下げのスピードは、ウェハーにかかる熱ストレスなどによるひずみやら、欠陥にかかわるので非常に大事である。この辺のノウハウが拡散エンジニアの腕の見せ所である。

そうこうしているうちに、ステップ2のようになる。Nitride膜のないところの酸化膜が選択成長していて、Nitride膜はグニャーっと上に反っている。このプロセスステップこそまさにLOCOS(Local Oxidation of Silicon)なわけだ。ちゃんとB(ボロン)もP-(ピーマイナスと呼ぶ)として拡散されている。P-とはPsubよりも濃いけれど、後で出てくるS/DのP+と区別するためにこう表現する。

そして最後に、残っているNitride膜を取っ払う。これは150℃のリン酸エッチで、何も考えずにウェハーをジャバーってつけてしまう。それで、Nitride膜を全部取り払ってステップ3の出来上がり。ちなみに、本来ならNitride膜というのは酸化されないんだけど、このField酸化長い熱処理の間に、表面層がわずかに酸化される。だから、リン酸エッチをする前に、このわずかな薄皮の酸化膜をエッチングしておかないと、リン酸エッチで酸化膜がマスクになってしまい、Nitride膜がエッチングできないという事態に陥る。そこで、リン酸エッチの前にはフッ酸系のエッチングをさらっと行う必要がある。これは、業界では常識だが、一般から見れば隠れた技だ。

最後に、LOCOSでできた酸化膜の厚いところの形って、なんと呼ばれているかというと、Bird's Beak(鳥のくちばし)って呼ばれている。太いところから細くなる先端って鳥のくちばしに似てるからだ。実は、この形状がとても大事だったりする。あまりにも急峻だと、ここにストレスがたまったりして、結晶欠陥が生じ、最終的には耐圧問題などが起こる。これが信頼性などの問題になるのだ。この辺の話は、実際のデバイス特性の話などのところで詳しく出るだろう。

これで、一連のLOCOSプロセスはおしまい。これで素子分離完了である。次はいよいよもっとも大事なゲート周りを形成するプロセスだ。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 酸化拡散 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。