2004年05月20日

選択比

今日は久しぶりに朝からえらく重たいなあ。

今回は前回の続きの話で、選択比の話から始めよう。

ドライエッチのEtching Rateというのを決めるのは、選択比というのが大きくものをいっている。前回のエンドポイントの話ところでは、Nitirde膜と酸化膜のEtching Rateの違いイコールNitride膜と酸化膜の選択比がいくつとなる。実際のEtching Rateの決定は、エッチングしたい膜とレジストとの選択比で決まってくる。ドライエッチの場合レジストもエッチングされて目減りしてしまうのだ。

だから、エッチングガスの混合比などでレジストのEtching Rateが大きくなってしまうと、Nitride膜をエッチングし終わるまでレジストがもたなくて、レジストパターンがなくなってしまうなんてことが起こる。これだとパターンができなくて、まずいわけだ。選択比が1なんていうと、レジストもNitiride膜も同じRateで削れてしまうってことだ。よく覚えてないが、レジストとの選択比は3ぐらいにするようにしているんだっけな?選択比3の場合はもしレジストとエッチングしたい膜が同じ膜厚であれば、エッチングが終わるときにレジストは1/3しか目減りしてないわけだ。

ま、そんなこんなで、Etching Rateを製造現場の効率とかね合わせながら決めているわけだ。速すぎてもばらつきが大きすぎたり、選択比の問題が起こったりするからね。でもだいたいウェハー1枚あたり1分ぐらいに設定するのかな。だから、そうするためには成膜工程後には膜厚をちゃんと測定しないといけない。それもウェハー面内5点ぐらいね。ウェハーには面内ばらつきがあるから、なるべく均一にエッチングするためには、ちょうど良いところで終わるようにしないといけないからだ。もちろんエッチング残りがあるのが最悪なので、それは避ける。

ところで1枚あたりといったが、エッチングの装置には(半導体装置にはというべきかもしれないが)、枚様式とバッチ式というのがあって、枚様式は1枚1枚のウェハーを、バッチ式は数枚から数十枚のウェハーを1度に処理するものである。現在ではエッチング装置はほとんどが枚様式ではないだろうか。枚様式のほうが加工精度が良かったり、処理時間が速かったりというメリットが多い。

他にもマイクロローディングなんて悪さがあったりして、これに対しても枚様式のほうが強いといわれている。マイクロローディングとは、レジストパターンによって、必要以上にエッチングが加速してしまうという現象だ。具体的にいうと、例えばポリシリコンのゲートなどでは回路のレイアウト的に、トランジスタが特に少ない場所などができてしまう。すると、そこを大量にエッチングするのだが、レジストによる被覆が周りにほとんどないために、実際のEtching Rateが上がってしまうようなことが起こるわけだ。レジストの選択比のほうが高くてエッチングされないから、レジストパターンの多いところは結果的にレジストがエッチングを抑える働きをしている。

マイクロローディングはかなり曲者で、エッチングのプロセス条件のチューニングだけではどうしても対処できない場合があり、その場合下手をすると、マスクの全レイヤー変更なんて話になる。

半導体の設計者もこの辺のところはプロセスエンジニアとコミュニケーションを密にして仕事をしないといけないところだ。

エッチングガスの代表的なものは以下の通りだ。
酸化膜、窒化膜:フッ素系ガス(CHF3,C2F6)
Poly Si:塩素系/フッ素系ガス(CCl4,CF4)
Al:塩素系ガス(BCl3,Cl2)
Poly Si,Alのドライエッチはこの先出てくる。

最後に、装置の工夫の話を。エッチング装置もいろいろ改良されていて、今ではチャンバーの中が2つの部屋に分かれていることが多い。一つはプラズマを作る部屋、もう一つは真空に引く部屋である。なるべく異方性を高めるには、途中でぶつかる物質が少ないほうが良い。LPCVDのところで話した平均自由行程ね(Mean Free Path)。それには低圧が良い。でも、速いEtching Rateで処理速度を上げるためには、たくさんのプラズマがいる。それには高圧が必要である。だから、わずかなスリットのようなものをあけて、プラズマガスが通り抜けられるようにして、2つの部屋にするわけだ。

これで、ドライエッチの話は終わるが、とにかく工程はパターン加工するメインのプロセスなので、ウェハープロセス上非常に大切である。だから、ちょっとしたことが致命傷になるのでいろいろ知恵も蓄積されている。そんなわけで話題には事欠かない。今後も時折プロセスの匠的なことが出てくるであろう。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:12| Comment(8) | TrackBack(0) | Etching | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ICP-RIEでSiO2/Siの選択比をあげるのに苦戦中です。CF4で試みましたが、選択比は1程度です。既存のガスはCl2,O2,Ar,N2,Cf4です。あと一つガスラインを増やせるのですがなにか良い案はないでしょうか。よろしくお願いします。
Posted by Dr.shunichi at 2004年12月09日 23:32
Dr.shunichi様

久しぶりにブログを見たらコメントがありました。返事が遅れてすみません。

エッチングガスの混合に関しては、当時ほんとに職人芸のような人がいて、その人に何とかしてよなどと頼めば何とかなるような状態だったので、ピッコロは怠慢していてあまり勉強していませんでした。

しかし、多少記憶にあるのはSF6などをうまく使っていたような気がします。これもうろ覚えなので当てになりませんが。

ピッコロ
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年12月14日 20:41
 残り1ラインであれば、CHF3かH2がよいかと思います。SiO2/Siの選択比を上げようとするのであればCHF3もしくはCF4/H2ガスでエッチングとCFポリマーデポの競合反応をうまく使いながら選択比を上げるのがミソです。H2を混ぜすぎると、ポリマーデポが起こりすぎて、エッチストップしたり、チャンバークリーニングが必要になります。
 SF6は何でもエッチングしてしまうので選択比を出すのが難しくなります。クリーニングガス使ったりもします。
Posted by Dr.通りがかり at 2004年12月15日 10:23
現在プロセス上、可能ならNi薄膜をドライエッチしたいのですが、とあるところからNiは何種類かのガスで試したけど全然エッチングされる気配がないよといったことを聞きました。
私自身はまだ試していないのですが、このガスならNiをエッチングできるというような情報はないでしょうか?
他力本願ではありますが、どなたかご存知でしたらお願いします・・・。
Posted by さおり at 2005年03月11日 16:42
エッチングのガスの種類とどういう膜をエッチングできるのか、またそのメカニズム(反応)が
興味あります。デポ物をつくってわざとその
デポ物に沿ってエッチングするというのも
興味深いですね。このあたりについて参考できる文献などありましたら教えてください。
Posted by おこ at 2005年04月09日 14:51
1.SiO2/Siの選択比
温暖化防止も含めてC2HF5添加は如何ですか?CHF3とよりdepo要素が強い傾向で使えました。
etch-depoトレードオフの方式は開口率でピンポイントで選択比30はいけます。
逆にSi/SiO2なら-100℃にすると選択比80-100ぐらい可能です。
2.Ni
a)HIならエッチングできます。装置もエッチングしますのでトリートメント含めてシステム組まないとうまく構成できないでしょう。
b)ハードマスク高温etchingで可能ですが、再デポ物の処理はかなり難しいです。
c)イオン・ミリングなら可能です。
ゲート絶縁破壊も気にするなら、中性Arミリングが宜しいかと。
Posted by たけぽん at 2005年04月13日 15:48
反応性スパッタについて教えてください
Posted by 勉強中 at 2006年02月02日 21:14
シリコン基板にアスペクト比30以上の穴を作りたいのですが、方法ありませんか?
Posted by 界王拳? at 2006年02月03日 20:10
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