2004年05月12日

Well拡散

Blog死亡時間帯を避けて、朝少し早めに更新。

今回から再びProcessFlow(プロセスフローといってプロセスの最初から最後までの一連の流れのことをさす)にもどる。

この前の続きとなると、Wellインプラを打った後のWell拡散の話になる。忘れてしまった人はしばらく前に戻って復習。

さて、例のごとく以下の図を見てもらおう。

Well拡散

まずインプラ後に何をするかというと、酸化膜のエッチングだ。図の1から2への流れである。もうNwellインプラを終えてしまって、後はレジストを取っ払って、って考えるかもしれないが、そうはいかない。インプラを打つのにMaskとして使ったレジストをそのまま酸化膜のエッチングのMaskとして使う。

ここでの酸化膜エッチはウェットエッチで行うのが普通だろう。そんなに精度いらないしね。エッチング液は前に述べた、NH4FとHFの水溶液を使えばよい。ウェットエッチってのはあらかじめ酸化膜を用意しておいて、ちょっとずつエッチングをして膜厚測定をするってことを繰り返して、その酸化膜に対するエッチングレート(Etching Rate)を算出しておく。その後例えば、そのエッチャント(エッチング液)でこの酸化膜なら何分エッチングするって具合にエッチング時間を決めるわけだ。

例えばここでの酸化膜の厚さをこの前述べたように1000オングストロームだとして、エッチングレートを秒速25オングストロームだとすれば、ぴったりエッチングされる時間は、40秒ってことになる。実際にはエッチング残りなんてのがあると困るので、オバーエッチを10%とか20%ぐらいかける。この場合40秒+10秒ぐらいで十分だろう。あんまりオーバーエッチかけると、サイドエッチがすごくなるからね。

ま、こんなふうにして、ステップ2までいくわけだ。その後、いらなくなったレジストを除去する。これは今では普通プラズマアッシャーを使うのだろう。昔はウェットエッチの後なんかだと熱硫酸加水(80℃のH2SO4+H2O2)でとったりしていたはず。でも、ドライエッチとかインプラ後のレジストってのは真空中で処理されるから脱ガスするし、上からイオンやらプラズマイオンやらでバンバンぶったたかれるのでレジストが硬化してしまっていて、熱硫酸加水ではきれいに取れない。そこでプラズマアッシャーが登場するわけだ。ちなみに単にアッシャー(Asher)とかアッシング(Ashing)なんても言う。

これは言葉の通り、灰にするみたいなものだ。ここでのプラズマっていうのは酸素ガスようするにO2で、このガスを流して酸素のプラズマを作りそれをレジストにぶっつけ酸化してとりのぞいてしまうというものである。原理的にはほとんどドライエッチと同じようなもんで、後日ドライエッチャーというドライエッチの装置の説明のところで詳細は分かるだろう。

そんなこんなで、めでたくステップ3まで到達。ちなみになぜレジストをとらないといけないかというと、レジストをつけたまま熱処理を行ってしまうと、ウェハー中に余計な可動イオンなどが入り込んでしまうし(トランジスタの誤動作の原因)、その時使った熱酸化炉や熱拡散炉にはレジスト成分が残ってしまい、あとから来るウェハーにも悪さをしてしまうことになるからだ。こういうのを一般的にレジスト汚染なんて呼んだりする。

さていよいよWell拡散である。これはよくDrive in(ドライブイン)なんて言う。ウェハー表面にあったインプラによる不純物原子を深さ方向にドライブインするわけだ。これをやるためには、1200℃ぐらいの高温熱処理が必要になる。それでも、12時間ぐらい拡散炉に入れっぱなしってことになり、半導体プロセスの中では最も長時間な処理の一つである。そりゃー、なげー時間だ。この長時間の熱処理によって、だいたいWellの領域は2umから3umの深さにする。まあ、この深さを狙っているわけだ。その熱処理時にはわずかだが酸化膜が上に成長するようにしている。ここまででステップ4。

最後にこの時できた酸化膜を全面エッチしてステップ5に到達。このときの図のウェハー表面を良くみてもらいたい。インプラを打った部分がへこんでいるでしょう。これはウェル拡散に入る前に酸化膜のパターンをエッチングによってつけたために、Si表面がむき出しの部分は、反応律速で酸化膜の成長が早く、酸化膜が残っている両端の部分では、拡散律速により中心部分よりも酸化膜の成長速度が遅いってことから生じる現象だ。酸化膜はだいたい3:2の割合でSi自体も食われるって話を以前したけど、それによって最後に酸化膜を全面取っ払ったときに、より酸化が進んだSiむき出しの真ん中だけがへこむことになる。

なんでこんなことをするかというと、次のMaskステップに行くときに、マスクの位置をウェハーのパターンに合わせることができるようにするためだ。もし、このインプラ後の酸化膜のパターンエッチをしないで(ステップ2の部分ね)、そのままウェル拡散に進んだりすると、最後の酸化膜全面除去の後は、Siウェハー上はまっ平らで、次のマスクをあわせる目印がなくなってしまう(S/Dインプラなんかだとインプラの跡が残ったりするけど、Wellインプラ程度では後はほとんど見えない)。ゲート電極のエッチングとかこのあとでてくるLOCOS作製のエッチングでは、次のマスク合わせのために、エッチングされた膜のパターン自体が残っているので問題ないが、この最初のWellの工程だけは、このような匠の技が必要になる。なかなか賢いでしょう。

マスク合わせの話については、もう少ししたら細かく説明する。

今回はここまで、次はLOCOS作製の一連のプロセスがスタートかな。
posted by ピッコロ大魔王 at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 酸化拡散 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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