2004年05月10日

インプラ

サーバがあまりにも重く、マイブログにすらなかなかたどりつけないので今日はやめようかと思ったが、少し回復したようなので、気をとりなおして再開。

今回は、前回の予告通り、インプラである。インプラとは正確にはイオンインプラ(Ion Impla)とかイオンインプランテーションとかイオン注入なんて言う。自分はあまり使わなかったがI/IとかI2なんて表現する人もいる(Ion ImplaのIとIね)。このインプラっていうのは骨とか歯とかでインプランテーションなんてことをいったりするから、想像つく人もいると思うが、注入っていうか埋め込みみたいなもんだ。

要するになんかのイオンをある深さに埋め込むわけだ。この場合、なんかのイオンっていうのは、B(ボロン)、P(リン)、As(ヒ素)だと思えばまず間違いない。
これらのSiに対しての不純物と呼ばれるものをウェハー中に入れる方法がインプラなのである。ではなぜこんな方法がとられるのだろう。

以前少し触れたが、不純物をウェハー中に入れるためには、Depositoin(デポ)とかDoping(ドーピング)と呼ばれる方法もある。これは、拡散炉と呼ばれる形としては酸化炉と全く同じ装置を使い、その中に例えばB(ボロン)をウェハー中に入れたければ、BBr3というガスを混ぜ、P(リン)を入れたければPOCl3(業界ではポックルなんて呼ぶ)というガスを混ぜて熱処理を行う。するとウェハー表面にこれらのガスによりBやPが入り込むわけだ。今でもゲート電極に使われているCVD膜である多結晶シリコンをN型のSiにするためにPOCl3によるドーピングが使われている。

しかしながら、この熱処理の拡散という方法では、不純物の注入量が正確にコントロールできない。だから、ドバーってべったりとドーピングするとき以外には今では使われない。イメージとしては水蒸気の中に入って皮膚にべったりと水滴がつくってな感じで、ボロンやリンがべたってウェハー上につくって感じ。その表面についた不純物が熱処理によってブワーってウェハー中に潜って広がっていくわけだ。当然その不純物の濃度勾配は深さ方向に熱拡散の拡散方程式による分布をとることになる。ベターってつくから拡散路の掃除も大変なんだけどね(こまめに掃除しないとパーティクルの発生源になる)。

これに対して、インプラっていうのは非常に優れていて、注入するイオンの数を一個単位で制御でき(まあ実際には1個単位でやっているわけではないが)、おまけに注入する深さまでコントロールできる。深さに関しては、当然分布は持つが、分布の頂点をターゲット深さとすると、いきなりウェハーの表面下3000オングストロームなんてところに打ち込めたりするのだ。

その制御はどうやってしているのかというと、イオン数は電流の量としてカウントし制御していて、深さはイオンを加速するときのエネルギーで制御する。その仕組みはちょっとした図が必要なのだが、絵を描くのが面倒なので次回にするとしよう。

イオン注入の装置としては一般的にはMedium Current(ミディアムカーレント)インプラという中電流の装置とHigh Current(ハイカーレント)インプラという高電流の装置がある。Medium Currentは名の通りそんなにでかくない電流だから、インプラできる不純物の量もそんなに多くなく、最初のほうの工程で使う。High Currentの場合はたくさん不純物を注入でき通常は最後のほうにあるS/D(ソースドレイン)のインプラのように電極としてかなり濃い不純物が必要な場合に使う。

現場的には当然注入量の多いHigh Currentのほうがウェハーの処理に時間がかかる。そして、装置は電流のお化けだからやたらめったらでかい。High Currentなんかは4畳半ぐらいあるんじゃないかな?

ちなみに正確な注入量が必要なのは、例えばWellなどの拡散層を回路上の抵抗として使ったり、トランジスタの心臓部であるチャネル部分の不純物濃度がVthを決めている、などの理由である。

さ、次回はインプラの仕組みというか機構のはなし。どうやって絵を準備しよう。
posted by ピッコロ大魔王 at 13:17| Comment(6) | TrackBack(0) | Impla | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
凄く勉強になります。楽しみにしております。
Posted by 堀米 毅 at 2004年05月10日 20:40
プロセスについて詳しく解説するblogを見付けて驚いています。
勝手ですが、私のHPからリンクを張らせて頂きました。
これからも楽しみにしています
Posted by 柊 和葉 at 2004年05月10日 23:52
柊様、リンクどうもありがとうございます。
Posted by ピッコロ大魔王 at 2004年05月11日 09:09
技術翻訳やってますが、大変参考になりました。字面だけでなく内容の理解が伴うと、自信を持って訳せます。これからもこちらで勉強させて頂きます。有難うございました。
Posted by さけ at 2007年04月23日 14:24
はじめまして、ドテノ助と申します。
お忙しい中とは思いますが、ご返答頂ければ誠に助かります。

質問は1つです。でもその前に自分をとりまく環境から説明させて下さい。m(--)m
無知の領域から半導体の業界と接し始め、半年の勤務期間が経過しました。
これまでCU工程のPLATING,CMP,RIE,ASHER,洗浄,SEM,BM成膜を経験させてもらいましたが、やはり未経験の領域はよくわからなくて、DD法の工程も頭の中でなかなか完成しません。
結局は自分で調べるんだと思うんですが(汗)日頃の疑問にご回答頂けると、とても心強いです。

では、質問です。
@弊社CU工程では、PLATING〜CMPにくるまでにANNEALというマシンを経由します。PLATINGから払い出す際はとても綺麗な銅色をしているのですが、CMPにて受け入れる際はエッジカット部分に焼け焦げたような跡があります。この前CMPにてMAXTIME(エンドポイント未検出エラー)が出た際にはウエハ全面部にこのような焦げ跡を確認しました。これはANNEALINGの際にでたものでしょうか?焦げ跡はCMP洗浄後かつPOLISHING前のウエハでした。

と、わかってるフリしてよくわかっていません。ANNEALとは、ここでいうIMPLAの事でしょうか?
なんとなく、やっている事は同じのような気が…(イオン注入や高温熱処理など)します(汗

よろしく、お願いします。
Posted by ドテノ助 at 2008年01月06日 05:13
おはようございます。調べれば調べるほど、カオス(笑)に陥ったドテノ助です。こんな俺をどうかカオスの状態から引き上げて下さい、お願いします。

ANNEALは拡散工程ですか?IMPLAですか?(←まだわからない)いったいどう違うんですか?

俺は今、CU工程のCMPにいます。CU-CMP処理後、T-UP処理する前に、CU残り目視検査をします。ここでは薄い膜のようなものを確認します。これはBM成膜(ENTRON)のR側でつけたMETALなのでしょうか?そしてその膜の下にあるのがBM成膜(ENTRON)F側でつけたCU-SEEDでしょうか?T-UP処理後はこの薄い膜はなくなっています。

これがバンブー構造にストレスを与える「薄膜」なのでしょうか?(それともBMが薄膜?)
そもそもCU-SEEDとMETALを合わせてBM?
BM(バリアメタル)だから、CU‐SEEDはBMに含まれないの?
METALとTA/TANの違いは?

いろいろ聞いてしまい、申し訳ない気持ちです。
なかなか現場の経験と知識が合致しない日々が続いていますが、(現場で)自分のやっている事がわかると、嬉しい気持ちと新たな責任感が芽生えます。
ぜひ、お願いします。
Posted by ドテノ助 at 2008年01月06日 07:09
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