2006年12月14日

MOSトランジスタ電流の式最終版

だいぶ間が空いてしまったが、電流の式の最後の付け足し説明を。

まずは以下の式。
静特性3.gif

まずは前回の最後の式@を引っ張り出してくる。まあ、どんな教科書でも載っているはずだから、いまさら何をかいわんや、だけどね。

ま、要するにこの電流の式ってのは前提条件があって、それによって使い分けるってわけ。@の式ではその下にあるようにVgsとVthの差がゼロ以上、VgdとVthの差がゼロ以上の時に成り立つってことだ。前提条件というよりこういう場合境界条件って言葉を使うのかな?この条件って結局閾値電圧よりゲート基板間の電圧のほうがでかいってことだ。この前説明したようにドレインに電圧を加えるから、VgsとVgdを別々に見ているわけだけど、だいたいの場合Vgd−Vthの方が成り立っていればVgsのほうも成り立っていたりする。

ちなみにVgdを例によって前回同様にVgsとVds分けるとその下の条件式になって、普通こっちのほうを使う。ということでVgsとVthの差がゼロ以上でなおかつVds以上のときに成り立つことになる。ま、この意味は考えれば分かるよね。ってことでたまには自分で考えてね。

ちなみにこの領域のことを線形領域と呼ぶ。Vdsの増加と共にほぼ線形で電流が増加するってことだろうねえ。厳密には線形じゃないのは式から分かるけど、そんなの気にしない。

で、お次はVgsとVthの差がVds以下になってしまった場合。この場合は、そういう表現を使うよりもVdsがあるレベルよりもでかくなってしまった場合と言ったほうがイメージしやすいだろう。そんでもって、ここではVdsの代わりにVgs-Vthを使って上の式に代入しちゃう。上の式ってのは前回の最後の@の式ね。するとアーラ不思議(って不思議でもなんでもない)電流がVgsだけの変数の式になってしまった。

要するにVdsがある程度以上でかくなると、MOSトランジスタのドレイン電流はドレイン電圧に依存しなくなるってことだ。これは、前に述べたピンチオフによる影響だったりするわけだが、その仕組みは簡単だから教科書を見ればすぐ分かる。あ、そうそう、こういう状態を飽和領域と呼ぶんだよね。つまりドレイン電圧に対して電流がサチっているわけだ。

当然のことながら経験者はここで述べていることから静特性のグラフというか図を頭に思い浮かべているのだろうが、こういう特性のことをMOSトランジスタの静特性とか電流電圧特性と呼んでいる。

ここまで来たら、当然そのグラフというか図を出したり、実際のテストパターンに針を当てた測定の仕方とか、ピンチオフの仕組み、ドレインインデュースドバリアローアリングによるリーク電流、サブスレッショルド特性など色々と次に進めるべきなのだが、面倒くさいので無期延期。

ということで、お、し、ま、い。
相当気が向いたら再開します。
posted by ピッコロ大魔王 at 12:16| Comment(2) | TrackBack(0) | デバイス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月01日

MOSトランジスタ電流の式3

さて、さて続きをやってみましょうか。

前回はゲート電荷と単位時間を求めるところまでいきました。お次はある意味簡単。前回の図をちょっくら呼び出してもらって、A、Bを@に代入するだけだ。

そうすると次のようになってくる。
静特性2.gif

式の前半部分は簡単だ。ただ代入して整理しただけ。次のVgのところがちょいと面食らうかも。実はここまでずっとVgって書いてきたのは意味があるわけだ。もう一つはVdsとか使っているのにね。

これゲートにかけた電圧ってゲート直下のチャネル部分では一定じゃないよね。だってドレインにも電圧を加えていくわけだから。実際はドレインからソースにかけて電位勾配があるわけだ。(まあ、このことが後々勉強していくと出てくる、ピンチオフとかDrain Varrier Loweringなんてことに影響していくのだが。)

n型のMOSの場合ゲート、ドレイン共にソース、Gndに対してプラスの電圧をかけていくので、ドレイン近傍のチャネルではドレインからのプラスでチャネルにかかるゲート電圧が目減りするわけだ。それにこの式の導出では関係ないけど、ドレイン境界部ってダイオード構造に逆バイアスがかかることになるので、空乏層が広がってチャネルを狭めることになる。ま、こいつがピンチオフの原因なんだけど、もうちょっと後だね。

そんなこんなで、脱線してしまったけど、このVgをゲートソース間、ゲートドレイン間の平均で表すことにするわけだ。で、さらに、ゲートドレイン間のVgdをVgsとVdsであらわす。この意味は分かるよね。上で脱線したときに説明したように、トランジスタをオンさせるために同極性の電圧をかけていくわけだから、チャネルにかかるゲート電圧がドレインソース間の電圧で目減りさせられることになる。

これで、VgはVgsとVdsだけで表すことができるようになった。その結果がVgの最後の式だ。

そんでもって、最初にQ、Tを代入して出した式にこのVgをぶち込むわけである。後は簡単で、整理していくと最後の式が出てくる。で、ここでただ整理しただけなのに@、Aって分けたのには意味があるんだが、それは次の機会にしよう。

ちなみに一般的には誘電率のままにしておかないのと、覚えやすいという理由から定数はCoxとμnにまとめてしまってある。この式がかの有名なMOSトランジスタの電流の式である。電流電圧特性とかこの式から導き出される特性(まあ、測定してもでるわけだが)を静特性なんて呼んだりしている。

このBlogをスタートしたときの目標ってのが、トランジスタの電流の式を求めるまで、ど素人が勉強するということだったので、ひとまず目標は達成だ。

だが、次回に続く。ここまでと、これから使うもう一つの図は前に作っておいたものだが、まあ教科書も何も見ないで、2年間も完全に離れていてもこれだけ説明できるんだから(多少間違っていると思うが)ピッコロも捨てたもんだはないなあ、などと自己満足してしまった。あはは。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | デバイス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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