2004年07月01日

キャリア密度

今後CMOSの話などに進んでいくことを考えると、避けて通れないので、意を決して電流の式を出す話を進めていくことにする。

面倒なのでのんびりと少しずつ進む。で、まず始めにキャリア密度の話。

電流は基本的に電子やHoleの移動で説明されるので、最初にその素となるキャリア密度が分かってないと話にならない。

真性半導体を例にした、以下の図を見てもらおう。

キャリア密度

とりあえず上側の図だけを見て頂戴。左から、バンド図、状態密度、分布関数、キャリア密度となっているが、順番に説明していく。

バンド図は今まで出てきたので説明不要だが、今後一般化するので、フェルミレベルはEiじゃなくてEfにする。

次の状態密度。状態密度ってのはあるエネルギーレベルで電子やHoleが存在できる状態ってのが決まっていて、その状態数の密度を状態密度とよんでいる。エネルギーバンドのところで説明したように、もともと電子は飛び飛びの値しかとれず、それも同じ場所にはスピンの違う2個の電子しか乗ることができない。だから、イメージ的にははしごの足場というようなイメージが状態密度。モグラたたきのモグラが頭を出せる穴のようなものの密度といったほうが良いかも。

そして、この状態密度ってのは状態密度関数ってので表すことでできて、図のようになっている。実線は電子、点線はHoleの状態密度を表していて、禁制帯に近づくと急速にゼロに収束している(禁制帯には存在できるはしごの足場がないからね)。

さらに、おのおののエネルギーレベルには電子が存在できる確率が決まっていて、そいつを分布関数で表す。エネルギーバンドのところで出てきた電子のようなスピン量子数が半整数倍のものは、フェルミ・ディラクの分布関数に従うってのが分かっている。フェルミって人とディラクって人が考え出したからこういう名前がついている。一般にはフェルミ分布関数とか単に分布関数とよぶことが多い。

この分布関数は、図のようになっていて、確率分布だからゼロから1までで、フェルミレベルのちょうど真ん中で確率が1/2になっている。ここでも実線が電子、点線がHoleを表す。

そんでもって、状態密度と分布関数を掛け合わせると、キャリア密度がでてきて、一番右の図のようになる。まあ、存在できる足場の数とそこに存在する確率をかければ実際の数が出てくるというのはイメージしやすいよね。この図は非常に有名で、中には最後のこの図だけを載せている教科書なんかもあると思う。図から禁制帯近傍の伝導帯、価電子帯に電子、Holeの分布が集まっているのが分かるだろう。これが電子濃度やHole濃度になるわけだ。

これらの様子を式で表すと図の下の式のようになる。
まずは一番左の積分の式を計算すると、真ん中の式になり、こいつが電子濃度、Hole濃度だ。

左の積分の式では、電子とHoleで積分範囲が無限大までとマイナス無限大からという違いがある。さらに電子の分布関数がf(E)なのでHoleの分布関数は1-f(E)になっているのが違う。これは分布関数の図を見れば分かるよね。

ちなみに、状態密度関数g(E)と分布関数f(E)の具体的中身や、積分の式の計算方法などは教科書や大学の講義などに任せるとして、ここではやらない。Webでもおそらくでてくるだろう。

式中のNc、Nvはそれぞれ伝導体の有効状態密度、価電子帯の有効状態密度とよばれるもので、ある温度例えば常温の300Kなどを入れてあげれば定数になる。これはただしの右の式を見ればあきらかである。この定数ってのがこの後重要だから覚えておくと良い。

一番右の式のmn、mp(ちょっとサフィックスがうまくできない)はそれぞれ電子、Holeの有効質量とよばれるもので、結晶格子中(真空)を動き回っているときの質量で、静止質量より小さいものなのでわざわざ区別している。

と、今回はここでおしまい。次は真性半導体のキャリア密度を求めるところ。
posted by ピッコロ大魔王 at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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