2004年04月22日

酸化工程

今回は、少し脱線して補足説明。まずは、酸化工程の話をする。

ウェハープロセスの成膜(膜を成長させる)工程には、方法的に分けると3つある。酸化、CVD、スパッタ(Sputter)工程である。ちなみに後者2つはそのうち出てくるだろうから後回し。

酸化というのは熱酸化工程のことで、熱酸化膜をSiウェハー上に作るものだ。実は、酸化膜という膜をつけるという意味では上に挙げたCVDでもできるのだ。熱酸化という言葉の通り、酸化炉と呼ばれる電気炉で温度を上げて、酸素の混じったガスを流して酸化膜を成長させる。

ところで、補足的に説明すると、熱処理工程としては熱酸化工程のほかに、拡散工程というのがある。これもそのうち説明するが、ウェハーの表面部分に注入したB(ボロン)だとかP(リン)などの不純物をウェハーの内部に拡散させる工程である。

さて、酸化の仕組みは以下の図で説明しよう。

酸化

上下に図が分かれているが、まず上から。Si原子の並びがあるが、その上から酸素原子がふらふらきている。それが表面のSi原子と結合するとSiO2という酸化物ができその膜を一般的にシリコン酸化膜という。酸化炉で高温にすることで、ちゃんと共有結合ができるわけだ。で、時間をかければどんどん酸化膜が成長することになる。

下の図を見てみよう。上側の1列はすでに酸化膜ができているので、酸素原子は隙間を通り抜けて、下層の列のSiと反応しなければならない。こうして、時間をかけるとともに、上から順々に酸化膜が厚くなっていくわけだ。

このとき、全く最初やまだ酸化膜が薄い場合には、すぐに酸素原子はSiと反応することができるので、成長速度は「反応律速」である。しばらく時間が経って酸化膜が厚くなってくると、酸素原子がSiウェハーのまだ反応していないSi表面に達するまでに時間がかかるようになるので、成長速度は「拡散律速」なる。

また、最初のSiウェハーの表面を基準にすると2:3ぐらいの割合で酸化膜が成長する。つまり、界面から上に2、下に3ってことだ。だからSiウェハーが割合3だけ酸化膜として食われることになる。これ前回ちょっと出たエッチングで削っちゃうと、この分だけSiウェハーが薄くなるってことだね。これは少し大事なことだから、記憶しておいて頂戴。(比率は逆の3:2だったかもしれない)

酸化の種類としてはウェット(Wet)酸化とドライ(Dry)酸化がある(超ドライ酸化なんてのもあるが、これはマニアックなので、勉強が進んだら各自調べればよい)。ウェット酸化ってのは、実は水を使うんだね。H2Oをガス(水蒸気)として炉の中に流して、水の中の酸素を酸化膜の成長に使う。この特徴は、酸化速度が速いってことだ。だから厚い膜圧が必要な場合にはこの方法を使う。しかし、これは酸化膜中にOH基の水素が取り込まれてしまうことがあるので、膜質としては良くない。成長速度が速いってのも、膜質の悪さに影響する。だから、ゲート酸化膜のような大事な膜には使えない。

一方、ドライ酸化は酸化膜成長に酸素ガスを使う。これは、ウェット酸化の反対で、成長速度は遅いが膜質はよい。だから、膜質、膜厚をシビアにコントロールしなくてはいけないような、薄い酸化膜を作るときにはこの方法を使う。遅い反応スピードのほうが、時間対比で誤差のブレが小さくてすむでしょ。

全体的には、酸化の温度としてはだいたい800℃ぐらいから1100℃ぐらいの温度を使う。酸化の反応速度は、温度が上がると指数関数的に上がるので、その分時間は短くなる。しかし、温度が高いとウェハー自体が反ったり、ゆがんだりするので、温度をノー天気に上げればよいわけではない。もうそれだけで、不良品になったりする。また、ガスの組成配分もいろいろな比率で一回の酸化処理で段階的に微妙に変えている。一般的に使うガスはN2、O2、H2Oといったところ。

酸化工程の酸化プログラムというかシーケンスは、各工場によって微妙に違っていて、それがある意味匠の技になっている。
まあ、とにかく酸化の話を細かく、詳しくするといくらでも技があるので、終わらなくなってしまう。おいおい他にも説明するとは思うが、ちゃんと勉強する人は、ぜひ酸化とか拡散の熱処理関係の専門書で勉強するべし。

次回は、エッチングかな。では、続く。
posted by ピッコロ大魔王 at 17:16| Comment(22) | TrackBack(0) | 酸化拡散 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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